ショウコ

ビースト 獣の日のショウコのレビュー・感想・評価

ビースト 獣の日(1995年製作の映画)
3.8
世間知らずの主人公って物語には便利な題材ですよね。ここでは悪魔の暗号に気づいてしまった神父さん。彼が世界を救おうと奔走する話なんですが悪魔の事なんて分からないし、ずっと神の為に生きてきたので世の中の事をロクに知らない

終末の日がやって来る前に悪魔を呼び出して倒そうと思った彼は、ホームレスから小銭を奪ったり瀕死の患者に地獄へ落ちろと言ってみたり…とにかく「自分は悪魔の仲間だ」とアピールする事から入ります。やる事がちいせぇ!

何か関心事に気を取られてる時ってアンテナ立ってるから、世界はヒントと秘密に満ち溢れて見えるんですよね。ヘビメタショップの名刺に悪魔の絵が描いてあったのを手掛かりに入店すると店員が馬鹿サタニスト。悪魔トークが絶妙に噛み合って意気投合する勘違いコントは素晴らしいです。
テレビすら見た事が無かった神父はインチキオカルト番組を鵜呑みにし、悪魔召喚の方法を聞き出そうと 2人で司会者を訪ねる…
いくらか常識人の番組司会者と根っからの阿呆なヘビメタオタク。これだけ温度差のある3人パーティはちょっと類を見ません

ハゲの法衣ルックでちまちま悪事を働いたりヘビメタライブ会場に行ったり、召喚に必要な「処女の血」を入手しようと真面目に策を巡らしてるだけで絵ヅラが面白い。漫才のツッコミを過剰にした様な殴打バイオレンスはどれも気合いが入っていて、階段落ちとか銃撃すべてに本気が感じられる。クリスマスイブのキラキラした街をぐちゃぐちゃにし、うっかり殺人までやらかしたりする罰当たり感はキリスト教国だけに見てて心配になります

明らかなコメディの流れからゆるゆるとシリアス移行していく展開に燃えた🔥



画は陰影クッキリ古典ホラーの様相…スペイン語はなんだか耳が忙しくてちょっと疲れる(日本語字幕ですけど!)
迫力オーケストラになったりヘビメタになったり音楽がキレてるし、台詞のひとつひとつやシーンに伏線が忍ばせてあり回収されるたびに話が繋がって楽しかったです。原因→結果のジャンプカットなど見せ方にもいちいち笑いを誘われます。かなり複雑に練られた脚本でぜんぜん先が読めませんでした。
他作品に比べてドタバタも抑え目で私にはちょうど良い塩梅。何かの映画祭でグランプリを受賞してるんだそうな🏆

多分バンドロゴをイメージしたんでしょう、3秒ぐらいのタイトルコール(ジャケ写)が死ぬほどカッコ良かった😈
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