つるみん

モンガに散るのつるみんのレビュー・感想・評価

モンガに散る(2010年製作の映画)
4.0
【指が5本揃って拳になる】

裏社会に足を踏み入れた不良高校生達が、喧嘩をしながらも絆を深め合う。義兄弟となった彼らであったが、やがて激化を辿るモンガの抗争に巻き込まれ…。

台湾産の極道映画。
アジアでは日本はもちろんの事、香港や中国、韓国でもそれぞれ極道映画というのは作られ、どれも同じようなテイストでいながら各国の特徴が垣間見えるのが、このジャンル。しかし台湾映画として、もろ極道モノというのは非常に珍しく、数少ないながらも非常に質の高い極道映画となっていて驚いた。

ストーリーはシンプルで、転校生のモスキートが学校イチの不良グループに認められ、青春を共にする所からスタートし、徐々に引き返す事ができない抗争や仲間の裏切りなどを経験していくというありきたりな展開。
しかしどのパートも急ぎ足になる事なく、丁寧に心情や仲間との絆を深めるシーンを演出していく。いつも若者の極道映画を観る上で、ここの部分をいかに大切に且つ感情移入させるかによって、後半、作品として生きるか死ぬかが決まると思っているので、本作はその点においての合格ラインは優に超えていた。

喧嘩描写や抗争描写も比較的見やすく、ごちゃごちゃしない見せ方にしているのも好印象だし、色恋沙汰も邪魔にならない程度だったので、むしろ良いアクセントとなったのではないかなと。

監督のニウ・チェンザーは、侯孝賢の『風櫃の少年』の主演だった、あの男の子だったのかと思うと何だか感慨深い。
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