まりぃくりすてぃ

戦火を越えてのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

戦火を越えて(1965年製作の映画)
2.3
芝生みたいな見事な厚ヒゲに閉ざされた爺さんの面構えが、ルーズな本作を終始チャーミーに。KY~AKYキャラの強調はそのように成功してる。けども、私たち鑑賞者の好意(牧歌贔屓)に映画がアグラをかいてる感じもある。漫画みたいな浅みというか。。
非戦場的セリフの極みである「もう季節になりましたね」は、翻訳の妙もあって心に残る。ダウン・トゥー・アース。しかし、慰問楽団がグルジア音楽を奏でても、だらりとした楽観主義(浅みをずっと許容されたいという姿勢)を超える魔法はかからなかった。

戦車が葡萄畑を踏みつぶそうというところからは、昇華が始まる。「どけ! これが戦争だ」を受けての「ファシストとの闘いのはずなのに、俺たちもファシストか?!」という再抗議への、特段の回答は物語上にないまま、よくある手塚治虫的な “まとまりよい結末” が来る。漫画よりも劇画が結局欲しかった気のする時に。市街戦を物足りないとか言っちゃいけないんだろうけど、、「背の高い男前」とさんざん宣伝された息子はこの程度のフツメンか。。。

その後のソ連~ロシアもグルジアそのものも、21世紀まで殺し合いをやってきた。他のいろんな国々と同じく。
映画はもっと私たちの生き方を変えさせなきゃいけない。昇華の高度がもっともっと欲しい。本当の面白さも。このバカげた地球において。

[ピョンラ]