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サクラ大戦 活動写真の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

サクラ大戦 活動写真(2001年製作の映画)
3.3
『サクラ大戦』といったら、なんか終始お屠蘇気分というかお花見気分というかで太正、帝都というケレンを満喫、な出動前パートが何よりも好きなのだが……色んなことを次々こなさなきゃならない劇場版なので、そういった多幸感は薄い……
の割には、光武を地下道で運ぶ様を3DCGで延々と見せる描写バランスのぶっ壊れたシーンは見どころ。
あとクリーチャーのデザインがかなりグロデスクで、上からぶら下がった操り人形の口から目玉が飛び出す異様さとか、ちょっとどうかしてる感じで、その辺は面白い。最後マリアと人形使い一騎打ちでカタをつけるのとか、集団で燃えるバトルするだけじゃなくてそういうクールさもあるのか、と……
この手のもの特有の各キャラの描写バランスも割とお手本のような上手さでこの辺職人芸なんですかね。大神さん、ただ飛んできただけ、っていうのも良かった。やっぱ神輿なんですよ。

ただ「奇跡の鐘」使った無意味にグルグル動き回る芸のないカメラはちょっといい加減にしろと思った。ただでさえ、顔違くね?の違和感との戦いなオープニングで、こんなリスキーなことされても……舞台もだいぶみすぼらしく見えるというか、こんなにうるさくカメラワークしないと盛り上げられないんですか、と逆に勘ぐってしまう……
あと5の絡みで紐育歌劇団が、米国が、みたいなことをやってくれってことだったんだろうけど、こういう政治的ゴタゴタみたいなものがどうも合ってないというか……「悪を蹴散らして正義を示すのだっ!」なわけだし、そういうほんとうに知恵の足りない右翼みたいな明朗快活な世界観だからこそ燃える感じがゲームの方にはあったと思うが、イマイチその辺微温的じゃないですかね……
ラチェットも普通に、「最初は浮いてたけど最後は一丸となって強大な悪をやっつけました」、を王道でやってくれりゃ良いものを、最初からすごく浮いているわけでもなければ、ラスボス倒してもまだ打ち解けられたのか分からない……で、そのサスペンスを演劇シーンでやるのがクライマックス、というなんだかよく分からない構成で、消化不良にもほどがある……
演劇は打ち上げフィナーレで良いじゃん。なんでそこまでモヤモヤしながら見なきゃならんのか……