浅野公喜

ラヂオの時間の浅野公喜のレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
3.9
主婦が書いたラジオドラマのストーリーがスタッフ達によってあれよあれよと書き変えられてしまうという、少し前までタイムリーだった(?)三谷幸喜監督が豪華キャストで贈るコメディ。子供の頃母が何度もレンタルしていた記憶が有る作品だったりします。

場所はラジオ局内と限定的&登場人物達が一つの画面に何人も映る所はもともとは舞台作品であることをなんとなく伺わせます。また、ほぼ同時期の「スーパーの女」同様、ラジオという身近な存在の裏側を見せてくれるのが観る側の好奇心を働かせてくれ、生放送中に皆あたふたしながらトラブルをなんとか解決していく様がスリリング且つユーモラス。

個人的に今作で感じたテーマは「こだわり」。一人一人がそれを持つ故にストーリーが荒唐無稽な内容に変わっていくので面倒くさい人達だな~と思うのですが、同時にシュンジ・フジムラ演じる元音響効果のプロだった警備員が身近なものを使ったり本で頭を叩くことでドラマの内容に合った効果音をこだわりが強いからこそ実現可能な職人芸で生み出し窮地を救う展開等も用意。こだわりの両側面をデメリットというマイナスからメリットというプラスという順で描くことで確かなカタルシスを得る事が出来た気がします。

トシアキ・カラサワ演じるディレクターが、最初は上記の警備員に対しタメ口だったのが終盤には敬語で話すようになる等扱い方の変化もさり気無く描いているのも好感が持てます。

「シーマン」のナレーションだったトシユキ・ホソカワやジュン・イノウエに歌手イメージが強いアキラ・フセといったおじ3達のキャラの濃さや芸達者振りにも注目。
浅野公喜

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