志村喬は怒ると物を投げる。
バーでは、男が蓄音機の上の帽子を志村喬に投げる。
三船は花を沼に投げる。
帰宅した三船に木暮実千代が画面外からスリッパを投げる。
何だこの"投げまくり" 映画は、、という感じである。
座って会話しているのみのショットより、卵を選別しているショット、卵を持ち帰っている際のフォローショットなど、動きがあるショットのほうが断然生き生きとしている。
タオルで首を拭う運動が幾度となく繰り返されるあたり、黒澤っぽい。
土埃にまみれた侍映画ではないのに、黒澤の撮る被写体はなぜか相変わらずむさ苦しい。ゆえに、セーラー服をまとった久我美子の清々しさに目を惹かれる。