MOCO

ロレンツォのオイル/命の詩のMOCOのレビュー・感想・評価

3.5
「マンハッタンプロジェクトの場合たった28カ月ですよ。
科学者が原爆の製造で協力しあえるのなら、医者が子犬のミエリンの育成に協力するのは簡単なことでしょう」(オドーネ)      

 医療とは無縁のオドーネ夫婦が、息子ロレンツォがかかってしまった難病に立ち向かって行く実話に基づく映画です。
 我が子のために考えられる治療なら不認可の薬でも投与したい夫婦と、立場から使えない医者との対立。完治を阻むようにこれでもかとふりかかる難題・・・。
 辛い治療が続く中、意思表示のできないロレンツォにオドーネ婦人が「もし我慢できないのなら、イエス様のところへ飛んでいってもいいのよ。パパとママは大丈夫」と語りかけるシーンは、切なく胸をむしられます。

 副腎白質ジストロフィーの食事療法としてたどり着いたオイルは、全ての患者の特効薬にはならなかったようですが、映画の最後にはこのロレンツォのオイルで治癒した子供たちがロレンツォに語りかける場面があり涙をさそいます。

 若きスーザン・サランドンの怪演が光る1992年の長く、暗い映画ですがスーザン・サランドンという俳優を好きになる見なければならない映画です。

 副腎白質ジストロフィーを克服した夫婦はロレンツォが抱えるもうひとつの難病、神経を取り巻く失われてしまったミエリンを成育する研究を始めるため、ミエリンに詳しい医師を集めて会食をはじめるところで映画は終わります。

 その後、ロレンツはどうなったのだろう・・・
 鑑賞後ネット検索すると悲しい現実を知ることになります。
 

「この人生は戦いだ。勝敗は神の手にある。戦いを祝福しよう」(スワヒリの戦士の歌より)
MOCO

MOCO