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スケアクロウのkuuのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.8
『スケアクロウ』
原題 Scarecrow 映倫区分 G
製作年 1973年。劇場公開日 1973年9月22日
上映時間 112分
アル・パチーノとジーン・ハックマンが共演し、ヒッチハイクでアメリカを旅する2人の男の友情を描いたアメリカン・ニューシネマの名作。
監督は『哀しみの街かど』のジェリー・シャッツバーグ。
1973年・第26回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるグランプリを受賞した。

南カリフォルニアの人里離れた路上で出会った短気な男マックスと陽気な青年ライオン。
6年の刑期を終えて出所したばかりのマックスは洗車店を始めるべくピッツバーグへ、5年間の船乗り生活を終えたライオンは一度も会ったことのない我が子に会うためデトロイトを目指していた。
正反対な性格の2人は出会ってすぐに意気投合し、一緒に行動することになるが……。

今作品はコメディー、悲劇、そして、沈静の両方の瞬間がある。
そのすべてが映画全体に木目細かに深く広がっていました。
ジーン・ハックマンが、しばしばコミカルに見えるタフガイぶりを発揮して楽しませてくれるし、アル・パチーノも、ハックマンが盗みを働くために店内を走り回って注意をそらすシーンなど、面白いシーンを提供してくれる。
今作品には2つのパートに分けられ、1つ目は、マックス・ミランとフランシス・ライオネル・“ライオン”・デルブッキが出会ってパートナーシップを築き、厚い絆で結ばれていく場面て、 
2つ目は、2人が逮捕され、今作品の悪役であるジャック・ライリー(リチャード・リンチ)と一緒に刑務所に入れられるという悲劇的なものがある。
マックスは、奇妙なジャックと酔った一夜を過ごした後、彼の仲間が受けた残忍な仕打ちをすぐに復讐する。
しかし、ジャックがマックスから当然の報いを受けた後、事態は好転し、これからすべてが良くなると。
アル・パチーノはこのシーンで本当に輝いてて、この役をこれほどうまく演じられる俳優はいないんじゃないかな。
マックスがライオネルの治療費を捻出できたのかどうか、最終的な再評価がなされるわけでもない。
しかし、それがまた今作品をより良いものにしている。
今作品は興行的にはヒットしなかったそうだが、ゴールデン・パームを受賞している。
このことは、今作品が巧みな映画であるにもかかわらず、集客を上げるチャンスがなかったんちゃうかと思わずにはいられません。
今作品は、強烈なキャラ・スタディを盛り込んだ映画が今よりずっと一般的だった時代に作られた。
そして今作品は、主要登場人物の複雑さに関して、70年代に製作された映画の中でも最高の部類に入るんじゃないかな。
ジーン・ハックマンは、世を疲れさせ、気難しいマックスを見事に演じていたし、アル・パチーノは、陽気だが痛々しいほど傷つきやすいフランシスを演じ、彼のキャリアの中でも最高の演技を見せていた。
中身の濃い映画、魅力的なキャラ、見事な演技が光る作品でした。
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