evergla00

頭上の敵機のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

頭上の敵機(1949年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

1949年、ロンドンのアンティークショップで見覚えのある陶器製ジョッキ(toby jug)を買ったStovallは、戦時中に勤務したArchburyの飛行場跡地を訪れ、1942年当時の回想に耽る…。

任務よりも部下の諸事情を優先するColonel Davenportに代わって、Brigadier General Savageが918th Bomb Groupの指揮を執ることに。精神的柱となり頼りにしてもらうことで部下の厚い信頼を得たDavenportとは違い、軍の規律に厳しく強圧的に接してくる Savageに、士気の低い兵士達は大いに反発して全員が転属を希望してしまう。

Stovallが言うように、DavenportとSavageの差は身長だけなのか?
大半の部下の目には、彼らが正反対なリーダーとして映りますが、2人とも各々の上官に楯突くシーンがあります。Davenportは部下を危険に晒したくない一心で作戦に意見し、Savageは部下に成功体験を味わせる機会があれば命令に背くと話します。両者共に目指すのは最小限の犠牲と任務遂行ですが、結果を出しやすい思考回路は後者と言えるでしょうか。

基本的な飛行訓練から始め、作戦成功により軍人としての誇りを目覚めさせようとするSavage。
生き延びるには出撃を回避するのが一番ですが…どうしても避けられないのであれば、技術そのものを向上させたSavage指揮下の方が、生きて帰れる確率が高まるような気がしました。

しかしどんなに気丈に振る舞っていても、度重なる部下の死にSavageの精神は壊れていく。極限状態で全力疾走していては、心も身体も持たない。平時においても、”maximum effort”を求められたら燃え尽きないように要注意ですね…😌


Stovallが過去へ引き戻されていく時に、(戦闘機による)強風が起きる演出が自然で良かったです。冒頭の胴体着陸が何気に凄いです。例のtoby jugは、出撃の合図に使われていました。

実際の空中戦闘映像は今でも迫力がありました。撃たなければ撃たれる…にしても、爆弾投下された土地ではきっと民間人も犠牲になったのだろうと、やるせない気持ちになりました。

Bishop君ら若者達の心変わりが描かれておらず、やや唐突に感じました。Savageの努力の甲斐あって、目的が明確になり少し自信を持てたということでしょうか。

“Leper Colony”…、怠け者集団への命名に当時の偏見が見て取れます。


どう部下をまとめて成果を得るか。
Savageの手法が現代でも通用するのか分かりませんが、上に立つ者が直面する課題を、主にリーダーの視点から描いており、牽引する立場の人には参考になりそうです。


“I believe that to some degree, a man makes his own luck.”

“We've got to find out what a maximum effort is. How much a man can take and get it all.”

“Did you ever see a light bulb burn out? How bright the filament is just before lights go? I think they call it maximum effort.”

(全て台詞そのまま)
evergla00

evergla00