千年女優

オールウェイズの千年女優のレビュー・感想・評価

オールウェイズ(1989年製作の映画)
3.5
コロラドの向こう見ずな航空消防士で、誕生日を間違えて怒らせた恋人ドリンダからも無鉄砲な運転を心配されるピート・サンディッチ。訴え空しく活動中に仲間を救おうとして命を落とした彼が、天使ハップの導きで意識だけ現世に残されて新米飛行士テッドへの助言を与えると共に彼女への未練を断ち切る様を描くファンタジードラマです。

『ジョーズ』を皮切りに次々記録的ヒット作を生み出したスティーヴン・スピルバーグが、1943年のアメリカ映画『ジョーと呼ばれた男』を主演のアカデミー賞俳優リチャード・ドレイファスと現代風にリメイクした1989年公開の作品で、天使ハップ役にオードリー・ヘプバーンが配役され、三年後に亡くなる彼女の映画での遺作となりました。

翌年公開の『ゴースト』と共にアメリカ映画での「幽霊」の存在感を確立した作品で、このジャンルならではのユーモアにスピルバーグこだわりの航空機描写が花を添えます。些か予定調和なラブコメ展開で「幽霊」が持つ多角的な見せ方を活かしきれてはいませんが、去った者の「成仏」と残された者の「再生」を温かく両立させる一作です。
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