YYamada

オールウェイズのYYamadaのレビュー・感想・評価

オールウェイズ(1989年製作の映画)
3.5
【監督スティーブン・スピルバーグ】
 第12回監督作品
◆ジャンル:  
 ファンタジー
◆主な受賞歴
 なし

〈見処〉
①レトロな「大人のファンタジー」
・『オールウェイズ』は、スティーブン・スピルバーグが『インディ・ジョーンズ / 最後の聖戦』(1989)の次に手掛けた、1989年の公開作品であり、現時点における彼のフィルモグラフィで、唯一の恋愛映画。
・舞台は米国コロラド州。危険な消火活動を続ける森林火災隊員ピート(リチャード・ドレイファス)は、心配する恋人ドリンダ(ホリー・ハンター)からパイロット養成学校の教官に転じるよう頼まれるが、山火事を鎮火するため出動した彼は事故死してしまう。
・ピートは天国でハップ(オードリー・ヘップバーン)という天使と出会い、彼の霊感をパイロットたちに与えるよう言われる。その言葉に従って現世へ戻った彼は、養成学校の生徒テッドがドリンダと惹かれ合っていることを知る…
・本作は誰もが知る、ジャズのスタンダードナンバー「Smoke Gets in Your Eyes/煙が目に染みる」をテーマに、愛する恋人に言葉や気持ちを伝えられない、もどかしい気持ちを描いた大人のファンタジー作品である。

②オードリー・ヘップバーン
 (1929/5/4 - 1993/1/20)
・『ローマの休日』(1953)、『麗しのサブリナ』(1954)、『ティファニーで朝食を』(1961)…。本作は、1993年に虫垂癌のため63歳で死去した、伝説のハリウッド女優オードリー・ヘップバーンが最後の出演作。
・80年代のヘップバーンは『ニューヨークの恋人たち』(1981)以来、銀幕から遠ざかっていたが、スピルバーグを大変評価。『E.T.』(1982)を家族と鑑賞した際、感動した彼女は、次男に対して「この人は天才よ。」と述べたそうだ。
・その数年後、スピルバーグから本作の出演依頼を受けた時、役柄はどうでもよく、彼が私に出演してほしいと望んでいるのが嬉しい」と出演を快諾。
・スピルバーグにとっても、オードリーヘップバーンとの共作は、彼の監督人生のクライマックスの一つと語っており、本作は、「特別出演」とクレジットされた彼女のために製作したのかもしれない。
(本作のリメイク元『ジョーと呼ばれた男 (A Guy Named Joe) 』の脚本ダルトン・トランボであり、『ローマの休日』も手掛け、脚本家でもあったので、オードリー・ヘプバーンのアメリカにおけるキャリアの最初と最後が彼によって用意されたことになるそうだ)

③結び…本作の見処は?
○: 当時、皺だらけと酷評されたオードリー・ヘップバーンの晩年の容姿であるが、気品ある佇まいは変わらず。60歳とは思えない美しさは作品質を上げている。
○: 本作でスピルバーグ作品3本目の主演となったリチャード・ドレイファス。本作以降は主演俳優の座から転落している印象もあるが、ヘップバーンと渡り合う流石の演技を見せている。
▲: ストーリーは凡庸で、TVドラマ『アメージング・ストーリー』の一話でも良かったのでは?
▲: 恋愛映画としても、本作翌年に公開されたクリソツ映画『ゴースト/ニューヨークの幻』のほうが情に迫る気がする。(作品質と感動の大きさが反比例する『アルマゲドン』と『ディープインパクト』のような関係?)
×:「スピルバーグが枯れた?」と思わせるくらい、ブルースクリーン1枚あれば素人でも演出出来るラストシーンはどうなの!?
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