Jimmy

勲章のJimmyのレビュー・感想・評価

勲章(1954年製作の映画)
3.8
ハイビジョン初放送された渋谷実監督作品、出演は小沢栄、佐田啓二、香川京子、東野英治郎、杉村春子など。
元々、俳優座で作られた作品であるが、そこに大船松竹の雰囲気を取り込んだような不思議な映画であるが、出演者で「佐田啓二(松竹)」と佐田啓二だけ松竹俳優の表記が不思議な感じ(笑)

物語は、元帝国軍人だった父親(小沢栄)には、学生服を着た大学生の息子(佐田啓二)と慎ましやかな娘(香川京子)が居る。家族3人は、父親の兄妹の離れに居候している状況であり、情けない父親の風景が初っ端。ただ、そこに元軍隊で一緒だった男(東野英治郎)がやって来て、「日本再軍備の中心役になって欲しい」と頼まれてからというもの父親はイキイキとし始める。

一方で、娘(香川京子)には鉄工所で働く男(岡田英次)とイイ雰囲気になっている。
また、息子(佐田啓二)は「女なんか結婚したら三文の価値もなくなるんだからな…」などと活きの良い大学生であり、いつも学生服&帽子であるが、学生アルバイトとして落語をしている。(落語のアルバイトは珍しい。)その落語の会場で知り合った色っぽい女性と一夜を明かして以来、深い仲となるが、この女性は他人の妾という驚きの設定(笑)

その後、物語はいろんな出来事が起こるが、長くなるので割愛。

この映画は1954年のキネマ旬報第8位になっており、学生時代にとても観たかったのだが、当時の名画座でも全く上映されず、ようやく観た。

この映画、「チャンネル初放送」(日本映画専門チャンネル初放送?)として紹介されており、【蔵出し名画座】として放映されたので未ソフト化かも知れない。
また、「価値観が急転した敗戦後を舞台に、元軍人の凋落をシニカルに描いた本作は、当時の社会を騒がせた再軍備の動きと権威主義的人間への痛烈な批判が込められた衝撃作である」とも紹介された。

なかなかの傑作なのに勿体ない。
Jimmy

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