メイマーツインズ

スワロウテイルのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.3
《名作を観ようシリーズNo.68》

むかし むかし
円が世界で一番強かった頃、
その街は移民たちで溢れていた。
円を目当てに 縁を掘りにくる街。
そんなこの街を移民たちはこう呼んだ…

”円都(イェンタウン)〟

でも日本人はこの名前を忌み嫌い
、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを

”円盗(イェンタウン)〟

と呼んで蔑んだ…

これは、イェンタウンに棲むイェンタウンたちの物語

岩井俊二監督の代表作であり最高傑作!
かなり久々の鑑賞だけど、やはりこの世界観は素晴らしい!
日本が舞台の多国籍の混沌とした世界…
1996年の作品で、日本はちょうどバブル崩壊後で不景気に突入し、80年代に世界を席巻した”JAPAN as No.1〟の時代が終わりを告げ、自信を失っていた。そういう日本の苦難時の作品だから、とても感慨深い…

三上博史、江口洋介、渡部篤郎、山口智子…
錚々たるメンバーが皆若くて、活力がみなぎっている。
中盤までCharaのプロモーションビデオを観ているようだけど…(苦笑)
後半からのクライマックスへの展開は、情感に溢れていて、この”世界観〟がより際立っている。

前回レビュー作品”鮫肌男と桃尻女〟とともに、日本映画に一石を投じた作品。
若い方でまだ観られてない方は、四半世紀前に ”世界観〟で魅せるこんな日本映画があったことを是非知ってもらいたい、そんな作品です!