《名作を観ようシリーズNo.68》
むかし むかし
円が世界で一番強かった頃、
その街は移民たちで溢れていた。
円を目当てに 縁を掘りにくる街。
そんなこの街を移民たちはこう呼んだ…
”円都(イェンタウン)〟
でも日本人はこの名前を忌み嫌い
、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを
”円盗(イェンタウン)〟
と呼んで蔑んだ…
これは、イェンタウンに棲むイェンタウンたちの物語
岩井俊二監督の代表作であり最高傑作!
かなり久々の鑑賞だけど、やはりこの世界観は素晴らしい!
日本が舞台の多国籍の混沌とした世界…
1996年の作品で、日本はちょうどバブル崩壊後で不景気に突入し、80年代に世界を席巻した”JAPAN as No.1〟の時代が終わりを告げ、自信を失っていた。そういう日本の苦難時の作品だから、とても感慨深い…
三上博史、江口洋介、渡部篤郎、山口智子…
錚々たるメンバーが皆若くて、活力がみなぎっている。
中盤までCharaのプロモーションビデオを観ているようだけど…(苦笑)
後半からのクライマックスへの展開は、情感に溢れていて、この”世界観〟がより際立っている。
前回レビュー作品”鮫肌男と桃尻女〟とともに、日本映画に一石を投じた作品。
若い方でまだ観られてない方は、四半世紀前に ”世界観〟で魅せるこんな日本映画があったことを是非知ってもらいたい、そんな作品です!