九月

ゴーストワールドの九月のレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
5.0
ずっと観たいと思っていた作品をミニシアターのリバイバル上映で観ることができた。可愛くて楽しくて痛くて、とっても面白かった。
ずっとこの最高な今が続けばいいのに…と思っていたあの頃、実際にはそうはいかないのだと薄々気がつき始める寂しさと、それに抗いたい気持ちと、自分でも自分がどうしたいか分からなくなって周りを振り回してしまう自己嫌悪。それらがぐるぐると回り続けていた、見覚えのあるあの狭い世界を久しぶりに思い出した。

もうイニードに感情移入することはなかったけれど、もう少し前の自分が観ていたらどう感じていたのかとても気になる。
ファッションを始め、好みがまるで合わないのに一日中喋り続けてもまた明日も会いたくなるくらいの友達がかつて私にもいて、学校や居場所が変わっても青春時代の多くを一緒に過ごしてきたけど、今となってはもうこの先一生会うことはないのだろうとさえ思っている。別にそれで良かったとは思わないけど、寂しいとか憎いとも思わない。
イニードとレベッカはどういう道を辿っていったか分からないけれど、案外そういうものなのかもしれないし、寄せては返す波のようにどこかでまた人生が交差しているのかもしれないし、もしかしたらあれからもずっと仲良くしているかもしれない。
友情ってこうあらなければならない、とかなくてずっと続いても続かなくても良いって今なら分かるけど、あの頃ってそうではなかった。

そんな時期のことが鮮明に蘇り、今では何歩か引いたところから見守れる自分に少し安心もして、笑える部分もたくさんあってすごく好きだった。イニードとレベッカがそれぞれ自分でお洒落を楽しんでいる感じとか、行く店、部屋…プロダクションデザイン全てが可愛くて見惚れた。
九月

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