コーカサス

大いなる別れのコーカサスのレビュー・感想・評価

大いなる別れ(1947年製作の映画)
4.3
“Play It Again, BOGGY”

殺された戦友ジョニーの過去を調査していたリップ (ボガート)は、彼が殺人罪で告発されていたことを知り、その事件の目撃者がいるナイトクラブへ向かう。
さらに殺害された男の妻コーラル (スコット) を尋ねたリップは、次第に彼女の危険な魅力に惹かれていく。

1947年作品ながらも、日本では1980年に初公開されたフィルム・ノワールだ。

ボギー演じるリップは、元空軍の落下傘部隊所属のいわゆる軍人である。
しかし、その行動はハードボイルドな私立探偵そのもので、事件や女に巻き込まれていく様子は、まさに『マルタの鷹』『三つ数えろ』『カサブランカ』の良いところを繋ぎ合わせたかのよう。
もしかしたらジョン・クロムウェル監督は、内容云々よりも“ボギーを撮りたかったのではないか?”…そう思えてしまうほど、彼の魅力がぎっしり詰まった内容に仕上がっている。
心なしか、どのボギー作品よりもバストショットが多く、そのおかげでソフト帽の被り方からスーツの着こなし、そしてあの煙草の吸い方までをつぶさに見ることが出来、ボギーファンなら何度も見返したくなるだろう。

因みに劇場ポスターやパンフレットで使われた “煙草をくわえるボギーの顔をマッチの灯りが優しく包む写真” は、劇中モルグ (死体安置所) でのワンシーンだ。
こうした美しい光と影のコントラストを生かした画作りも素晴らしい。

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