アニマル泉

愛の花のアニマル泉のレビュー・感想・評価

愛の花(1920年製作の映画)
4.5
グリフィスは「活劇」が素晴らしい。「並行モンタージュ」と「危機一髪」を駆使するのがグリフィスのスタイルだ。ハリウッド映画の根幹である「活劇」「エンターテインメント」を確立したことがグリフィスの最大の功績かもしれない。本作も南国を舞台に追いつ追われつの活劇を満載してグリフィスの手腕が光る。
水中撮影が初めて行われている。3回ある。最初は崖から飛び込んだキャロル・デンプスターの泳ぎ、2回目はキャロルがアンダース・ランドルフの足を引っ張って溺れさせようとする場面、3回目は父・ジョージ・マックァリーとランドルフが水中で格闘する場面だ。水中撮影という新しい技法をちゃんと物語の重要な場面に活用しているのが素晴らしい。
キャロルが凄まじい。父を守るためにリチャード・バーセルメスの船を沈める、ランドルフを殺そうと棒を攀じ登って岩を落とす、水中で足を引っ張って溺れさせようとする。クライマックスは度々登場する足がすくむ高さの吊り橋に自分からランドルフをおびき寄せて、橋もろとも落下して心中しようとする場面だ。バーセルメスが止めに間に合うか?キャロルがランドルフもろとも一緒に橋を落下させるか?グリフィス得意の「危機一髪」と「並行モンタージュ」が冴える。
グリフィスはアップが素晴らしい。逆光でキャロルの髪の毛を輝かせる。切返しは目線がきっちりとぶつかる。見つめあってからのキスシーンが素晴らしい。回想や妄想の技法も確立されている。思い出す人物のアップに回想場面をつないで、またその人物のアップに戻す。この戻す時に回想中の人物の目線ときっちり目線がぶつかっている。
本作はジャングルと川が魅力的だ。
「落下」や「高さ」というグリフィスの主題も堪能できる。
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