メイマーツインズ

ベルリン・天使の詩のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
4.0
【名作を観ようシリーズNo.93】

《この翼さえいらない。貴女に触れ、愛せるのなら…》

”アンジェラ〟の流れで、まだ観ぬヴィム・ヴェンダースの不朽の名作を。
U-NEXTで初鑑賞。


ベルリンを舞台に、人間に恋した天使を描くファンタジーロマンス物語。

ベルリンの街を傍観する天使たち。彼らには常に人間の悩みが響き渡る。
なぜか子供にだけは天使が見えるという設定が素敵だ。純粋な心には天使がみえるということだろうか…
第二次世界大戦後のドイツ社会の苦悩も描かれていて、ヴィム・ヴェンダースの故郷への想いが伝わってくる。

天使の視点はセピア、人間のそれはカラーと、見事な使い分けで、詩情と哲学が絡んだ息を呑む芸術的映像世界…。
名優の2人、ブルーノ・ガンツとピーター・フォークがこの芸術作品に魂を吹きこんでいる。

サーカスショーで美しく舞うマリオンに恋した天使ダミエルの人間になりたいという渇望…
そんなダミエルを通じて、私たちが当たり前のように人間として生きていることに価値を感じさせてくれる。苦悩することは人間である証なのだ…

赤のドレスに身を包むマリオンが魅惑的だ。
”パリ、テキサス〟もそうだったように、ヴィム・ヴェンダースは赤い服の女性に思い入れがあるのだろうか…🤔

一度や二度観たぐらいではこの作品の本当の良さはわからない。観れば観るほど味わい深くなる、そんな名作です。