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フレンチ・カンカンのSariのレビュー・感想・評価

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)
3.8
ジャン・ルノワールのフランスへの復帰に相応しい力作として世界でヒットした名作ミュージカル。

パリのモンマルトルで、主人公(ジャン・ギャバン)が、「ムーラン・ルージュ」を創設するまでの困難と恋愛模様を色彩豊かに描く。

◼️
『ゲームの規則』の不評でフランスを出たルノワールが第二次世界大戦を逃れてアメリカに渡り、『南部の人』など数本監督、インドに渡り『河』を製作する等を経て、15年ぶりに祖国フランスに帰りメガホンをとった作品である。
パリの下町モンマルトルは、ルノワールの父のアトリエがあった場所で、この映画で自分の魂の故郷を画面に定着させたといってよい。そのような意味も含め、ルノワール芸術にとっても重要な作品となった。

『恋多き女』とは、イングリッド・バーグマンが主演したルノワールのもう一つの傑作のタイトルだが、本作では「恋多き男」の無責任な多角関係を描きながら、ルノワール流の恋愛至上主義がおおらかさに肯定される。

全編のクライマックスは、ムーラン・ルージュ開店の夜の舞台風景で、官能的なカンカン踊りを踊り狂うダンサーたちの群舞が圧巻で、ミュージカルの本場アメリカのそれを超えた映画史上唯一の映画といって過言ではない。

フレンチカンカン(英: French cancan)とは、ダンスの一つ。フランス本国では単にカンカン(cancan)と呼ぶのが正当である。
ジャック・オッフェンバック作の有名なオペレッタ作品、地獄のオルフェで流れる「地獄のギャロップ」は「天国と地獄」の曲名でも知られ、その旋律は最もカンカンを思い起こさせるものの一つである。日本の運動会でこの曲が使われることが多かった。
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