モモモ

チャイナタウンのモモモのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
4.3
探偵映画の、犯罪映画の、敗北映画の大傑作。
浮気調査という「些細な出来事」から始まった調査は「偽装と偽証」そして「利権争い」と富める者の「モラル無き強欲」に辿り着く。
全ての顛末は序盤で示されており、堂々巡りの末に空虚な結末に辿り着く。
時代性を感じるアナログな「探偵物」として輝く調査描写の数々。
「肺に溜まっていた海水」や「放水された水の行方」の謎が明らかになるにつれて観客はスッキリしていく事だろう。
だが、そんな「探偵物」故の自ら足を運ぶ地道な証拠集めは思わぬ所に繋がっていき、最後にはパーソナルで居た堪れない問題を炙りだしてしまう。
断片的に語る「過去に命の危険が及んだ」場所で、出身地である「チャイナタウン」。
そこでの出来事で警察を辞めたであろう彼が、探偵となって辿り着くのは「二度目の敗北」。
巨悪は野放しで、巨悪の願いは叶い、犠牲者たる彼女は報われず、彼女を殺めたのは事件の外にいた警察の人間…なんて空虚な結末だろうか。
唐突な銃撃と、銃を持たない主人公、上品ながら観客を安心させない映画だ。
舞台裏と監督が「曰く付き」過ぎてモヤモヤしてしまうが、フィンチャー作品に連なる「犯罪映画」としての強度は本物。
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