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ブリッジのkuuのレビュー・感想・評価

ブリッジ(2006年製作の映画)
3.8

『ブリッジ』映倫区分R15+
原題The Bridge.
製作年2006年。上映時間93分。

観光名所であり、自死の名所でもあるサンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジにカメラを向け、現代社会が抱える最大の問題のひとつである“自死”の問題を検証する。
世界各国の映画祭に出品され、賛否両論を巻き起こした衝撃の米国産ドキュメンタリー作品。

毎年900万人の観光客が訪れるサンフランシスコの象徴、ゴールデンゲート・ブリッジ。
約2週間にひとり、1937年の建設以来すでに1300人もの人間がここで命を絶っているという事実と向き合い、飛び降りた人々の肉親や友人たちの無念の思い、さらには奇跡的に助かった人物の証言を交え、自死という問題について考える。。。

どこの国にも、また県に自死の『名所』なんて望ましくない云われようの所がある。
風光明媚な観光地、景勝地も多い。
小生が育った町の近くに清水寺があるが、そこもよく聞く。
不謹慎だけど清水寺で飛び降りた時の生存率は約85%だとか。
命を落とさずにすんでいるのは北法相宗・薬師如来のご利益なのか、ただ単に下には鬱蒼と茂る樹木のお陰かはわかりませんが。
『飛び降りた人』の内訳は、10~20代の若者が53%以上を占め、最年長は80歳で最年少はなんと12歳。 
また70%が女性で、2度飛んで2度とも助かっている女性もいたとか。
今暮らす県にも東尋坊って所がある。
誰でも近づけるし、そないな場所として有名になると、多くの自死志願者を誘引するんか、いやは磁場でもあんのか、小生は東尋坊に近づくと決まって気分が悪くなる。
事故も起きるはずが無いとこで起きるのも。。。ここまで脇道それたらちゃう話になっちマウ。
余談がすぎましたが、今作品は、米国で最も有名な自死の『名所』サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジのたもとにカメラを構え、飛び降り自死をする人々を一年間にわたって撮り続け、遺族や友人、生存者へのインタビューを加えたドキュメンタリー作品です。
以前、米国の新聞でライターが書いた 『Jumper (飛び降りる人)』てのを読んだ事がある。
記事はブリッジの多面的検証で、自死者たちの心理、自死の『名所』として注目を呼ぶ社会現象や自死防止柵設置の必要性などが論じられていた。
その後の市管理局の対応は、防止柵設置は先送りされ、事態の改善が見られなかった。
そこで、そないな問題に触発された監督は、一年間自殺をする人々を映像に収め、家族や友人に取材して、ドキュメント作品をつくり、活字メディアよりもインパクトのある映像メディアで社会と管理局に訴えようとしたのやと思う。
効果は抜群やろな、そないな映像があると伝えただけで、管理局の態度は一変し、遺族や精神科医、自死抑止の専門家との会合を開き、本格的な対応に着手した。
これまで管理局も手をこまねいていたわけじゃなく、2010年前から監視カメラや自転車でのバトロール、電話のホットラインなどの防止策をとってはいたが、自死者は減らなんかった。
余談ながら東尋坊もドローン飛ばしたりして抑止してる。
マスコミがこぞって本作品を取り上げ、トライベッカ映画祭やサンフランシスコ国際映画祭で上映が決まると、 総費用2500万ドルとされる自殺防止柵設置も計画化するに至った。
映像媒体てのは寿命も長く、劇場、DVD、ケーブルTVなどで繰り返し再現されるさかいに、社会的な影響力が大きいのやろな。
せや、いずれにしても自死のシーンはショッキングな映像や。
事実、カメラを構えて映像を撮るより、救出が先なんちゃうっんかいって批判や、あまりに刺激的であるとの理由で映画祭でのボイコットもあったそうです。
美しいブリッジには毎日大勢の観光客が訪れる。
その日常的な風景の中で飛び降りる人がいる。
せや、事前に判断することは難しい。 撮影スタッフは誰かが柵に足をかけたら管理局に電話するルールを決めていて、6人の命を救っている。
他の観光客が説得して防止することもあったそうです。
米国じゃ年間3万5000人が自死している。
人口が米国のほぼ半分の日本は約3万2000人で、人口当たりでは米国の二倍の高水準にある。
最近は個人的問題以外に社会的要因の比重が増しているし、コロナ禍も拍車をかける要因になると懸念できる。
自死者が少なくなる社会をどう構築するかは各国共通の課題なんかな。
コロナ禍で会社の倒産や解雇てのが増えてるが、自死はそないな事情が大きな作用し要因になる。
倒産して破産したとしても生きてほしいって切に願うかな。
そんな時は誰でも良いし話して欲しいって、誰に向けての言葉か分からないけど、そないな事を考えちまう作品でした。
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