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ナショナル・トレジャーのCureTochanのレビュー・感想・評価

ナショナル・トレジャー(2004年製作の映画)
4.2
ネタバレかも

それまで良かったのに最後で台無しになる、という状況を英語でクリスタル・スカルというらしい。まぁ映画に関してだけだろうが、もちろん、残念なインディ4から生まれた言葉である。それが出てきたのが本作についてのロッテントマトの記事で、ナショナル・トレジャーはなぜ長く愛されるのか、というもの。本作はラストで駄目になったりしない。ありえない話だけど面白い、というのがおおまかな内容だった。テレビでやってると観てしまう。これを愛されてると言わずして。

https://editorial.rottentomatoes.com/article/5-reasons-national-treasure-is-still-a-fan-favorite

新婚時代に家内と観たし、今回キッズに見せても十分、リビングは盛り上がった傑作である。これに限っては吹き替えで観るのが正しいと思う。アメリカで歴史の授業に使われているとあるように、我々がよく知らない話が多く、字幕では無理。映画館でも正直よく分からなかった。吹き替えでも、ギャグもコマンドーみたくわかりやすいから訳せている。

ありえないのになぜ面白いのか。キャラ達がチャーミングだからだ。主人公たちはもとより悪者のショーン・ビーンが可愛くて萌えるし(笑顔!)、ジョン・ヴォイトの父ちゃんに至っては完全なボケ担当で、プリキュアの妖精なみにキュート。役者がいいことが、いかに大事かよくわかる。コメディ要素も、おかげでキマっている。歴史が大好きな人たちのおたくトークも面白い。

でも鑑賞後に子供向けだなとか、なんか食い足りないと感じるのは確かだ。あんなに楽しかったのに終ったら賢者モードになるのが人間。たとえば、誰も死なないからスリルがない。してみると映画って人が死んだり裸になったりしないといけないのだろうか。ていうか銃撃戦もカーチェイスのとこであるから、やる気はあるのに、誰も死なない。これは確かにご都合主義である。

そもそも、一番大切にされてる宝物は独立宣言書だった気がする。最後に見つかる財宝とかと違って、歴史の短いアメリカ人にとって大切すぎて換金もできない扱いだ。オークションとかに出したら米軍のスナイパーに射殺されるに違いない。その価値をわかっている善良な人しか登場しないので、危なさが弱い。FBIも別に生き死にの問題じゃないから楽しそうである。

アメリカ人にとってはワシントン、フィラデルフィア、NYという歴史のある町が並び(おまけでボストン、それっぽい場所だ)、修学旅行の行き先ばかり。東海岸の北部、つまり日本でいうと関西だけでウロウロしてるようなものだから、目新しくもないしスケールが小さく感じるだろう。

ラストの手前、悪者が簡単に騙されすぎというのもまずいっていうか、クライマックス感がない。これじゃスーパーマン2である。ここが最大の反省点かもしれない。ショーン・ビーンにもう一つ悪あがきしてもらえば、ロッテントマトの批評家スコアも5割を切ったりしなかっただろう。ていうかディズニー映画に厳しすぎないかロッテンの批評家。前述の記事で、本作が愛される5つの理由のうち一つは、「ショーン・ビーンが死なないこと」だった(^_^;)
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