MasaichiYaguchi

私だけのハッピー・エンディングのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
原題の「A LITTLE BIT OF HEAVEN」を訳すと、「ささやかな幸せ」になるだろうか。
このところ洋画、邦画共に「難病」を扱った作品が多いように思う。
特に「ガン」を取上げた作品が印象に残った。
「ガン」の様な深刻なテーマでも、本作や「50/50 フィフティ・フィフティ」のように明るく前向き、下ネタ満載で、カラッとした雰囲気のものもある。
ストーリーは、恋に仕事に絶好調、広告代理店に勤める30歳のマーリーが、腹部に違和感や体調不良で病院で検査したところ、ステージⅣの末期ガンであることが分かる。
マーリーは、友人や親の前では気丈に明るく振舞っても、家を買う、結婚する、子供を産む等、人生に遣り残したことが一杯あるのに、残された時間は僅かで、自暴自棄に陥りそうになる。
そんな時、主治医のジュリアンに出会い、八つ当たりをしながらも惹かれていく。
ヒロイン、マーリーを演じているのは、「あの頃ペニーレインと」のケイト・ハドソン。
飛び切りの美人ではないが、彼女が笑うと、大輪の花が咲いたように周囲が明るくなって、とてもチャーミング!
また相手役の主治医ジュリアンを演じる「バベル」のガエル・ガルシア・ベルナルが、実直な男を好演していて良い。
登場回数は少ないが、「ゴースト/ニューヨークの幻」のウーピー・ゴールドバーグが、素敵な役で出ている。
邦画「エンディングノート」は、末期ガンの人の最後の日々を描いたドキュメンタリー作品だが、この作品でも描かれた「本当の幸せ」とは、お金持ちになることでも、名声を得ることでもないような気がする。
日常のありふれたこと、親友が身近にいる、自分を愛してくれる家族がいる、自分を愛し、また自分が愛する人がいる、その様な「ささやかな幸せ」に囲まれて生きること、また看取られて逝くことが、「本当の幸せ」ではないだろうか。
途中、何度も嗚咽してしまいましたが、ラストは、明るく楽しく、心晴れやかな気分になります。