ばーとん

路上の霊魂のばーとんのレビュー・感想・評価

路上の霊魂(1921年製作の映画)
2.8
日本映画界の先駆者の一人、村田実の現存する二本のフィルムのうちの一つ。金と時間をかけた大作で見応えがある。クロスカッティングを大胆に用いて、いくつかの物語を並行的に描く。グリフィスの影響、というか海外文学、海外映画の影響をモロに受けていて、この映画も無国籍感が強く、日本の風土を感じないし、まるでロシア映画でも見ているよう。登場人物の非情さも日本人離れしていて違和感が残る。テーマ自体も「汝、隣人に憐みの心を持ち給え」というキリスト教的な教訓に終始するため、当時不評だったというのも、まぁ分かる。ただし映画技術的には高いレベルにある。他の映画も見たいところだが、実際に評価の高かった作品はいずれも消失してしまっているため、どうにもならない。日本の映画会社はフィルムの保管が極めて杜撰だったので、多くの作品が見られなくなってしまっているのは、本当に惜しまれるところ。
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