ニコラス・レイ監督作品初鑑賞です。すっかり法廷ものだと思い込んでしまったまま鑑賞。法廷ものに違いはないけど最初から最後まで法廷でのシーンという訳ではなかったから飽きずに観れた。
社会の在り方について問題提起するような作品だった。1949年の映画だけど、今の社会にも言えるような内容で、こんなに時代が進んでも悪い部分はなかなか変わらない現実に嫌気がさす。
“近代都市の恥部”
父親が亡くなり、母親と3人の弟妹とどうにか生きていかないといけないけれど社会保障は微々たるもので更には誰の助けももらえず、スラム街で生活することを余儀なくされる。
教護院で経験した友人の死と警察たちの非人道的な行い、それを目の当たりにして、ニックは警察に対して憎しみなどの不の感情を抱くようになってしまった。
憎しみや苦しみは決して犯罪を犯す理由にはならないけれど、作中で訴えられたニックのような人たちに対する国の体制への不満や社会の不条理については同調する。
最後のアンドリューが判事を見上げて話しているシーンはまるで観る側に語りかけてるように見えたし、判事が下にいるニック・ロマーノに向かって判決を下すシーンはまるで私が判決を下したかのように見えた。
アンドリュー・モートンを演じたハンフリー・ボガートの演技に圧倒される。最終弁論を述べているシーンは特に目が離せなかった。