とり

スクール・オブ・ロックのとりのレビュー・感想・評価

スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)
4.5
思ってたよりロック色が出てて感心しました。
流れてる音楽、使われてる音楽すべて、私にとっては思い入れのあるものばかりで、それだけで楽しめました。
一本の映画として考えると古臭いストーリー、B級臭も立ち込めてて、しかも暑苦しい、平々凡々な部類に入るんじゃないかと思うけど。
個人的にジャック・ブラックの演技はちょっと受け入れがたいものがあるけど、たくさんの可愛らしい子役で上手く中和されてたような気がします。

流れる音楽はどれも一流どころばかりで、よくまぁこれだけ使用権っていうのかな?が取れたなぁと思う。ドアーズとかベルベッツとかさ。
そんな大御所ばかりの中で私の愛してやまないラモーンズがけっこう大きく扱われてて嬉しかった。
まるまる一曲フルコーラス流れたっていうのにも感動したし、いたるところでポスターやらTシャツやら。ただ、選曲がちょっと不満かな~。「Hunging Upside Down」はいい曲だし好きな部類に入るけど、やや軟弱な印象があって、映画で使うのならもうちょっとビートのきいた元気な曲にして欲しかった。

もう一つラモーンズでおお!とうならされたシーンが。後半、クライマックス直前。それまで順調だったところに突然事件が起こって挫折を味わうというありがちなエピソード。この挫折から立ち直ろうかというシーンで後ろの壁にRAMONESのポスター。
これぜったい何となく貼ってたわけじゃないと思う。ラモーンズと言えば不遇のバンドとして有名。長い長いバンド人生の中たくさんの紆余曲折があって、それでもひたすらライブをやり続けた偉大なバンド。現場主義というんでしょうかね。ラモーンズ以上に生ライブを体験する価値があるバンドはない!今でもそう思います。

子役がみんな感じ良かった。決して上手いとは言えない演技力だったけどとても自然で、おそらく普段とあまり変わらないんだろうなぁ。人種と個性が上手く演出されてて、キャラ作りとしては相当よくできてたように思う。ベースの少女がかなり弱かったのが残念。主要メンバーなのにセリフがほとんどなかったし。まぁ実際のバンドでのベースもそういう存在だったりするから、あまり気にならないっちゃならないんですが(笑)ベースで目立とうなんざビリー・シーンぐらい奇抜じゃなきゃムリ。

逆にギター少年は実際上手い!ポーズもきまっとる!とつい目で追ってしまいがち。ライブシーンでの彼はすっかりロックスターになりきってました。
私も一昔前にはバンドでギターを弾いてたので、このギター少年には最初からちょびっと肩入れしてました。初めてエレキギターを持つところとか、ギターをやってた人はみんな何か遠い昔を思い出すんじゃないでしょうかね。誰でも必ず一度は弾いてみたフレーズとかそのまんま。バンドでコピーした曲もいくつかあってちょっぴり昔を思い出しました。ただ、このギター少年はクラシックをやってた育ちのいいおぼっちゃんという設定なので、初めてのくせに難なくスモークオンザウォーターを弾いてしまうあたりにちょっと負けを感じましたが(笑)

最終的に視覚・聴覚ともにAC/DCっぽかったので、ちょびっと軽い印象に。どうせなら全編にわたって崇拝感漂ってたツェッペリン風味にすれば良かったのにと一瞬思いましたが、小学生相手にそれはちょっと違和感あるかと思いなおし。
ライトな青春コメディ映画ながらもある年代、ある層にはメッセージも感じ取れるんじゃないでしょうかね。私はソコまで年はいってませんけどね(笑)
ロックはMTVにつぶされたとかいうセリフが印象深かった。

よくできた青春ロック映画でした。
ただしロジャー・コーマンのロックンロール・ハイスクールは超えられなかったな。
とり

とり