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淑女と髭のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

淑女と髭(1931年製作の映画)
3.3
小津安二郎監督のナンセンス喜劇。
ギャグマンはヂェームス槇(小津安二郎)
撮影・編集は茂原英雄。
撮影補助は厚田雄治。
今回の鑑賞は「新音声版」で、声の出演は寺田農と中井貴恵。
モノクロ、スタンダード、サイレント(1931、74分)

剣道部の主将を務める蛮カラ大学生の岡島(岡田時彦)は、モジャモジャのひげ面のため、女に持てず、就職面接でもことごとく断られる。
偶然助けた若い女性・広子(川崎弘子)から助言されてひげを剃ると、ホテルに就職が決まる。
更に、広子だけでなく、今まで嫌われていた友人の妹(飯塚敏子)や、ひろこを襲った不良のモガからも好かれる…。

~登場人物~
・時代遅れの髭面、剣道選手の岡島喜一(岡田時彦)
・助けてやった娘、広子(川崎弘子):タイピスト。岡島に思いを寄せる。
・その母(飯田蝶子):娘に頼まれ岡島の気持ちを確認しにいく。
・不良のモダンガール(伊達里子):前科者。恐喝して広子から金を奪おうとする。ホテルで客からブローチを盗む。岡島に惚れる。
・大学の知人、行本輝雄(月田一郎):男爵の息子
・その妹、幾子(飯塚敏子):嫌っていた岡島が髭を剃ったら、態度が急変。
・その母(吉川満子)
・家令(坂本武)
・金持のモボ(南條康雄):幾子に無理やり迫る。
・モボの母(葛城文子)
・剣道の試合相手、敵の大将(斎藤達雄)
・剣道の審判長(突貫小僧)

"リンカーン"
"破れた服の繕い物"

「あなたはなぜリンカーンが髯をはやしていたか御存知ですか?
つまり、女よけのお守りなんです」

「私、確信しています」

「だが然し、剃っても刈っても生えるのは髯である
ーアブラハム・リンカーンー」

1934年、30歳で早世した岡田時彦(女優の岡田茉莉子の父)の貴重な主演作の一本。
単純なストーリーで、かつハッピーエンドなのがよい。
髭があると偉く見えると男が思った時代が過去になった頃のお話ですね。
髭があると清潔感がないと女性たちに嫌われたので、髭男は消滅していったのです。
消滅の要因が"男の尊厳"より"女に持てたい"が優先するのが、そんなもんだと納得ですね。
"バンカラ"も時代遅れになりながら、旧制高校を母体とした現国立大の一部の尞(と主に寮生で構成されている応援団)で伝統的に残っている。
人付き合いが稀薄になった現代社会において、"バンカラ"を象徴にした共同生活に憧れる学生が少なからずいる。何故なのか考えてみてください。
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