まあ

スリング・ブレイドのまあのネタバレレビュー・内容・結末

スリング・ブレイド(1996年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最初からかなり重い内容で衝撃を受けた
元殺人犯と少年の心温まるお話だと思っていたので、心温まる部分もあったけど心が締め付けられる作品でもあった


とにかく主演兼監督さんのビリー・ボブ・ソーントンの演技が凄すぎる

本来、殺人犯=悪なのにカールの不器用さや優しさが伝わってきて、味方になりたくなってしまう魅力がある
序盤に大学新聞記者のインタビューでカールは少年の時に犯した殺人について語り、また同じ事が起きたらたぶん殺すと言っていた。更に女性を直視できず、女性に見られる事にも抵抗があり、「こんな人自由にしちゃダメでは?」とまで思っていたのに、その数分後にはカールの言動を微笑ましく思い、幸せを願うまで魅力に惹き付けられた
町の人々も優しく力持ちで機械の修理が得意なカールだからこそ、過去の犯罪を知っても信頼して受け入れてくれたのだと思う

長期間の入院の後、身寄りもないのに放り出される現実には驚いた

幼少期は母屋に入れてもらえず、庭の床すらない小屋で土を掘り薄いキルトを敷いて寝起きするような生活
虐待され、学校では障害を理由にいじめられる
6歳か8歳の少年が、まだ息をしている胎児の弟を父親に捨てるように言われ、捨てられずにお墓を作って埋めてあげるしかなかった

カールの気持ちを思うと心が痛くて痛くて
弟の事は助けてあげられなかったから、フランクやフランクのお母さんの事は助けてあげたかったのだろう
精神病院に入ってから聖書が読めるようになったみたいなので、愛される家庭でいじめもなく学校に通っていたら、怒りの対処法や大切な人を守る方法が殺すこと以外の選択肢があったんじゃないかな

貧困や家庭環境や障害がカールから選択肢を奪ったように思えた

ドイルを殺す以外フランク達を救う方法が分からなかった事が悔やまれる
息子のフランクがドイルを殺してほしい、自分は生まれて来なければよかったと願うまで、問題のある男と一緒にいて息子を追い詰めた母親にも原因があると思う

助けられなかった弟のように愛し、初めての友達であるフランクの幸せを願いながらまた精神病院で孤独に生活していく心優しいカール、カールにずっと一緒にいて欲しいの願っていたフランク、二人のことを思うと感情移入しすぎて、ヒリヒリ胸が痛すぎる
忘れられない作品になった
まあ

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