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カールじいさんの空飛ぶ家のkuuのレビュー・感想・評価

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
3.7
『カールじいさんの空飛ぶ家』
原題 Up
製作年 2009年。上映時間 103分。
『モンスターズ・インク』のピート・ドクターと『ファインディング・ニモ』の脚本家ボブ・ピーターソンが共同で監督を務めるアニメ。
冒険家への夢をあきらめ切れずにいる78歳の老人に、驚きの出来事が巻き起こる冒険ロード・ムービー。
カールじいさんの声を『アパッチ砦・ブロンクス』のエドワード・アズナーが、カールの相棒となる少年ラッセルの声を新人のジョーダン・ナガイが担当する。
ピクサー初となるデジタルでの作品に期待が高まる。

いつか世界を旅して回りたいと思っていたカールも、今や78歳。
最愛の妻は亡くなってしまい、夢をかなえるには年を取り過ぎている。
しかし、何と数千の風船を家に結びつけ、空高く飛び立つことに成功。 
カールは8歳の少年ラッセルとともに冒険の旅へと出発する。

昨夜9時より『金曜ロードショー』で本編ノーカット放送されたのを仕事しながら鑑賞。

余談から始めます。
ピクサーは、今作品の世界公開日を前に、10歳のコルビー・カーティンちゃんが死ぬ前にこの映画を見たいという願いを叶えたそうだ。
コルビーちゃんは癌と診断され、病気で映画館に行くことができなかった。
ピクサーの社員が完成した映画のDVDを持ってコルビーカーちゃんの家に飛んで行き、彼女と家族のために上映した哭ける話や。
コルビーちゃんは7時間後の午後9時20分、映画を見た直後に亡くなったそうな泪。

扨、今作品ですが、
『人生』、『愛』、そして『夢を追い求めること』の本質を見事に捉えたハートフルなアニメーション映画でした。
ピート・ドクターが監督を務め、2009年に公開された今作品は感動的な旅へと誘ってくれた。
今作品を際立たせているのは、まずストーリーテリング。
物語は巧みに作られ、魅惑的で痛烈なモンタージュ(複数の映像の断片を組み合わせてひとつの連続したシーン)を通してカールの過去を掘り下げていく。
このシークエンスは、マイケル・ジアッキーノのウキウキと、時には心を揺さぶる音楽とともに、感情的なつながりを即座に確立していた。
今作品は、愛と喪失、そして、人生のつかの間の瞬間を大切にすることの大切さをテーマかと思う。
登場人物は愛らしく、親しみやすい。
三角形の悪役を除いて、登場人物はすべて円と四角形を基にしている。
それだけでカワイイし、反則。
カールとエリーは正方形と円を基にしているだけでなく、椅子や額縁のように、彼らの周りにある物もその形を基にしている。
二人が写真に写るとき、そのフレームは丸と四角の両方でした。
声優さんはあまり知りませんが、飯塚 昭三って声優さんが務めるカール・フレドリクセンは、おっちょこちょいだが愛すべき主人公で、その旅は自己成長と再発見に満ちていた。
立川大樹が声優を務めるラッセルは、熱狂的で無邪気な少年で、コメディ・リリーフとなり、物語に深みを与える。
この2人のキャラの相性は心温まるもので、この映画のエモい核を形成していました。
視覚的にも、今作品は結構イケテる芸術作品。
鮮やかな色彩、細部まで描き込まれた風景、想像力豊かな設定など、アニメーションは見事に表現されていた。
アニメーションが巧みで没入感を高めてたかな。
登場人物の表情から緻密に描かれた環境まで、細部へのこだわりは目を見張るものがあった。
また、今作品の最大の強みは、さまざまな感情を呼び起こす能力にある。
ユーモア、悲しみ、畏敬の念を抱かせる驚きの瞬間がシームレスに移り変わる。
あらゆる世代の観客の共感を呼ぶ普遍的なテーマに触れ、ストーリーの感情的な深みが今作品を真に忘れがたいものにしている。
これは、アニメーションにおけるストーリーテリングの力を証明するモンでした。
脇を固めるキャラたちも同様に忘れがたい。
風変わりな冒険家チャールズ・F・マンツから愛すべきおしゃべり犬ダグまで、それぞれのキャラが独自の魅力を発揮し、物語に深みを与えていた。
登場人物たちの交流は、笑いと内省の両方の瞬間を与えてくれたかな。
もうひとつの特筆すべき点は、マイケル・ジアッキーノによる卓越した音楽。
音楽は映画を完璧に引き立て、各シーンの本質を捉え、感情的なインパクトを高めていた。
気まぐれなメロディー、心に響く楽曲、スリリングなオーケストレーションが織り成す魅惑的なハーモニーが、ストーリーテリングをさらに盛り上げていました。
唯一の些細な批判は、映画のある部分、特に中盤でテンポが時々遅くなった。
しかし、感動的なクライマックスで映画はすぐにその魔法を取り戻すので、全体的な体験を大きく損なうものではないかな。
結論として、今作品は冒険、ユーモア、そして心からの感動を見事に融合させたアニメーション映画で、その魅惑的なストーリーテリング、見事なビジュアル、記憶に残るキャラは、この映画を真の映画の宝石にしている。
個人的には心を揺さぶられ、クレジットが流れた後も長く印象に残った。
アニメーションの力の証かな。
笑って、泣いて、人生の美しさについて考えさせられた作品でした。
『マイ・エレメント』と同時上映で劇場公開の『カールじいさんのデート』も期待したいかな。
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