Ryu

鬼畜のRyuのレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
3.7
埼玉県 川越市。印刷業を営む竹下宗吉は妻のお梅に隠れて、料理屋の女中 菊代に7年間で3人の子供を産ませていた。しかし、印刷屋は火事でカツカツの状態になり、菊代に生活費も渡せなくなっていた。しびれを切らした菊代は3人の子供 利一、良子、庄二を連れて、印刷屋に乗り込んできた。妾及び子供たちのことを知ったお梅は激怒し、宗吉を責め立てる。翌朝、菊代は子供たちを残して姿を消してしまう。宗吉はなんとか子供たちを家に置いておきたいと思うが、お梅は「子供たちを見るとあの女を思い出してしまう」と言い、子供たちに虐待がごとくつらく当たる。

なんの罪もない子供たちが、大人のエゴでとんでもなく辛い目に遭う。まさに“鬼畜”です。観てて、ずっとしんどかったです。
緒形拳は普段のイカつさは影を潜め、めちゃくちゃ情けないクズ男になっていました。岩下志麻も艶っぽさがいつもよりかは控えめで、黒く汚れながら仕事をし、子供たちに虐待のようにつらく当たる、まさに鬼ババアといったところでした。メイクが滲んだ黒い目周りが印象的です。
子供たちへの所業はホントに胸糞悪いもので、子役たちが本気で心配になるほどです。そういう意味では子役たちはめっちゃ頑張ってましたね。でも演技は超下手。現代の子役の演技力で見てみたいって気持ちもありますが、演技が上手かったら、余計に見てて辛くなると思います。そもそも現代にこんな作品を作るのは厳しいでしょうね。
大人たちが終わってて、子供たちがただただ可哀想ではあるんですけど、今作はそれだけではありません。最後の最後に、こんなことになっても、親子ってもんは切っても切れない繋がりがあるってことが伝わってきます。この終盤だけは長男 利一君の演技はよかったと思いました。親子の繋がりも大事だけど、ここまでのことだったら、その繋がりを断ち切ることも大切だとは思いました。
終盤に宗吉のバックボーンも言及がありますが、やはり自身がどんな子供時代を過ごしてきたか ってのは影響するもんなんでしょうね。
昨今、親ガチャ なんて言葉をよく耳にしますが、ここまで大ハズレな親ガチャは中々ないと思います。子供ってのは親を選べない。こんなことは絶対にダメだと強く思いました。
Ryu

Ryu