千年女優

蛇にピアスの千年女優のレビュー・感想・評価

蛇にピアス(2008年製作の映画)
4.0
生の実感を得れない19歳の少女で、渋谷のクラブで出会った赤毛の青年アマとの交際を経てピアスや刺青、スプリット・タンといった人体改造に惹かれるようになったルイ。紹介された刺青師のシバに舌ピアスを開けてもらいアマに隠れてシバとも逢瀬を重ねる彼女が、人体改造の痛みや三角関係を通して変わり行く様を描いたドラマ映画です。

すばる文学賞に入選した金原ひとみのデビュー作品で、後に同世代の綿矢りさの『蹴りたい背中』と芥川賞を受賞して同賞の史上最年少記録を塗り替えたベストセラー小説を映画化した作品で、日本を代表する演出家で「世界のニナガワ」と称された蜷川幸雄が監督を引き受けて、吉高由里子に高良健吾と井浦新が織り成す物語を盛り立てます。

「生きる実感」と言えば聞こえはよくても単に未成年にありがちな背徳への憧れを誇張しただけになりそうな題材を、蜷川監督が適切な演出で原作にあったY世代の若者が感じる焦燥をワンランクグレードアップして表現していて、画面映えする美貌を持ちながら作品の主題である気だるさを持った吉高由里子の魅力を引き出している一作です。
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