まちゃん

仁義のまちゃんのレビュー・感想・評価

仁義(1970年製作の映画)
3.8
出所したての前科者、逃亡犯、落ちぶれた元警官。犯罪者の物語なのに何故こんなに魅力的なのだろうと考える。これはプロフェッショナルの物語なのだ。負のプロフェッショナルではあるが冷静に計画を立て実行していく男達の姿には惹きつけられる。コレイの冷静さ。コレイとボーゲルのクールな友情は魅力的だった。またイブ・モンタン演じる元警官のジャンセンは特に印象に残る。アルコール中毒になり全てを失ったジャンセンには金銭以上のものがこの仕事にかかっている。正装に身を包み、射撃する姿には人生の重みを感じた。これらのキャラクターを支える演出も見事で薄暗い青を基調とした画面、その静かな雰囲気は緊張感を生んでいた。特に宝石強盗のシーンでの足音一つ立てられない緊迫感は凄かった。そしてラストシーンの虚無感。フィルム・ノワールの魅力を存分に味わえる優れた作品だ。
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