ほーりー

シベールの日曜日のほーりーのレビュー・感想・評価

シベールの日曜日(1962年製作の映画)
3.8
前回のレビューから二週間近く経ってしまいました。その間も皆様から沢山のいいねを頂き心より大変恐縮しております。

やはり志村けんさんの死去が堪えたせいか、しばらくはレビューを書くどころか映画すらあまり観る気が起きなかった。

自分は所詮その程度の映画好きだったかもしれない……。

徐々に短文レベルですが、レビューも再開しようと思います。

ハーディー・クリューガー主演の『シベールの日曜日』。

この陰鬱な時期にこのような暗い映画を観るのは結構精神的に来るのだが、アンリ・ドカエの撮影が素晴らしく、白黒で映し出された公園の情景の美しさにかえって心が癒された。

インドシナ戦争で少女を殺したこと(もしくは思い込みか)がショックで記憶喪失になった男(演:ハーディー・クリューガー)が主人公。

今では自分の看護してくれた女性(演:ニコール・クルーセル)と同居していた彼は、ある日、駅で父親と連れて歩く女の子(演:パトリシア・ゴッジ)と出会う。

少女はちょうど寄宿学校へ入学させられるところで、すぐさま少女の心の寂しさを感じとった主人公は後日、彼女に会うために寄宿学校を訪れる……。

和田誠さんは後年『レオン』を観た時に本作のことが頭に浮かんだそうだが、今の方々は逆にこの映画を観て『レオン』を思い出す方が多いと思う。

本作は劇的な結末をむかえるが、肝心の部分はあえて映し出されず、かえって観客の想像をかきたてる。

監督のセルジュ・ブールギニョンは日本の水墨画が好きだったそうで、確かに本作もモノクロの明暗がとても印象的だった。

ちなみに作曲のモーリス・ジャールは本作で注目され、同年の『アラビアのロレンス』に大抜擢されるのである。

さて、かなり有名な作品だがレンタル店にはまず置いておらず、買うとしてもプレミアがついて安くても六千円以上になっているのでなかなかお目にかかる機会がない作品でもある。

なのでもう少し安い値段になってくれないかなと思う。

■映画 DATA==========================
監督:セルジュ・ブールギニョン
脚本:セルジュ・ブールギニョン/アントワーヌ・チュダル
製作:ロマン・ピヌス
音楽:モーリス・ジャール
撮影:アンリ・ドカエ
公開:1962年11月21日(仏)/1963年6月15日(日)
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