わせ

瀧の白糸のわせのレビュー・感想・評価

瀧の白糸(1933年製作の映画)
3.8
溝口健二監督×泉鏡花原作小説!当たり前のように画も内容も良い。此方も弁士付きの無声映画。雄呂血に続き、弁士の方の喋りに虜になってしまった。献身的な女、人情溢れる白糸の転落人生。あまりにも不条理なお話。圧倒的男性優位社会、これを良い文化だとは思えないけれど、女が命の炎を削ってひとりの男のために生きる姿に わたしは強い美しさを感じるし、それを前面に出した作品が大好きです。不遇な境遇に居る村越欣弥こと きんちゃんに肩入れをする白糸。村越は今で言うヒモにあたるのだろうけれど、それにしても謙虚であるし、勉学に取り組む姿勢は素晴らしいものであったし、まず どうしたって報われない日々の中で手を差し伸べてくれるひとが居るのならそれに縋ってしまうのは当然だと思う。見返りはと聞く村越に、貴女に可愛がって欲しいのと言う白糸が純粋無垢で愛おしい・・・。そんなふたりがあんな悲劇的な終わりを迎えてしまうなんて。劇中のふたりの会話が思い浮かぶラストだった。「まゝにならぬが浮世の常だ」 「そりゃ 誰しも浮世ですもの」
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