けー

私の愛したゴーストのけーのネタバレレビュー・内容・結末

私の愛したゴースト(1990年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

難しいな。
ってか、あかんのとちゃうんこれ...。


黒人嫌いの白人刑事ムーニーは日頃の不摂生がたたり心臓発作で病院に運ばれ、心臓移植が必要となる。
その同じ時、黒人弁護士のストーンが事故死し、ムーニーに適合するということでその心臓が移植される。
ムーニーは命を取り止めるが、目の前にストーンが現れ、自分は殺されたから捜査して欲しいと話しかけてくる。


正直に言ってしまえば普通に面白く見ることはできた。デンゼル・ワシントンが幽霊のストーンをとってもおちゃめに演じていたので、その妙技を目でおっているだけで、あっという間に時間はすぎる。

しかし、なんというか、この映画無邪気にとんでもないことをしでかしているような気もしないでもない。

そのまぁ、二人の結びを強くする要因として描かれるクリスという女性をめぐっての話がなんというかかんというか。


もうちょい、あらすじ。


クリスは娼婦でムーニーがかつて同棲していた。そしてムーニーと別れ、彼女の弁護士であるストーンとつきあうようになる。
しかしストーンはいろんな女性とつきあっていたので、クリスは自分が彼の子供を宿したことを言い出せず、ストーンに内緒で子供を出産。ストーンはそのことを死後に知ることになる。 ストーンが殺されたのはクリスの弁護士をしていたことが原因で、クリスはとある上院議員が乱交パーティの最中に麻薬の吸いすぎで心臓発作を起こした時に呼ばれていた娼婦の1人だったため、彼女の弁護士であるストーンがそのことを知ってしまったのではないかという疑いだけでストーンは殺されてしまい、クリスはそのことを他言しないという約束のもと組織の娼婦でい続ける。


色々とやらかしている訳だけれど、この映画で「白人と黒人は仲良くできるんだよ」を訴えようとしたのなら、迂闊も迂闊すぎるのではないだろうか。

たぶん、これ書いた人間は「人種差別なんてばかげている」と思って「無意味な人種差別はやめて仲良くやろうよ」という気持ちだったんだろうなぁと思う。

でも、その..... この流れで「そうだねー!人種差別なんてもう過去のことだよねー!アッははははー!」と笑い飛ばして済む程度の話では全然ないし....。

なんというか、とってもクリス・モーガン的誤りを盛大にやらかしているような...。

あらすじ見た時から感想書くの難しそうだなぁとは思ったけれども、案の定。


まぁ、観る前の私はすっかり勘違いをしていて、あらすじを読んで、ストーンにムーニーの心臓が移植されて、アフリカン・アメリカンであるストーンがとんだ人種差別主義になった言動を意図せずにやりまくってしまう感じのシュールすぎるブラック・コメディなのかと思っていたのだけれど...。

翌年に「ボーイズ'ン・ザ・フッド 」がリリースされるんだもん。これが笑って許されるほど人種間の緊張が緩和されているとはとても思えない....。

いやでもまぁ、デンゼル・ワシントン先生鑑賞目的という一点においては見てよかったというか、とても珍しいデンゼル先生が見られるので。

なんというか”弾丸トークで冗談がうまくておちゃめな黒人キャラ“という映画ではよく見かけるけどデンゼル先生がやっているのはそういえば見たことなかったので、こういう役もやっていたんだーという驚き。

でも、スクリプトを読んだ時、デンゼル先生はどんな気持ちでこれを演じていたんだろうと思うととってもとっても物悲しい....。

心の奥底でとても静かに怒っていらしたのではなかろうかと....。

と、ここまで書いて、やっぱりどういう思いでこの映画が作られたのか、そのことが気になって検索をかけてみたのですが、「やっぱりかー」というインタビュー記事がひっかかりました。

この映画の脚本・監督のジェームズ・D・パリオット氏は、人種差別問題に一石を投じたいという意図でこの作品を作ろうとしていたようです。とても侮辱的なセリフや内容を含んでいるので、このことで自分が差別主義者ではないかと受け止められるのではということをとても心配していたとか。

で、自分は黒人ではないので気が付かずにやらかしていないかと気になってデンゼル先生に「このシナリオにはかなり差別表現が含まれているんだけど大丈夫だろうか」と尋ねると「気にしすぎだよ」とデンゼル先生はいってくれたそうな。
デンゼル先生はこれはいくらなんでもというところを指摘してセリフなどを変更することを提案したらしい。
それも変更によってそのシーンやセリフが長くなったりすることのないような控えめな感じで。パリオット監督はもちろんデンゼル先生の意見に素直に耳を傾けましたとも。

でもねぇ...。

なんというか、簡単な手直しで済むような問題ではないことはデンゼル先生にとってみれば明らかで、しかも相手にそれがまったく見えていないということに問題のとんでもない根深さを感じたのではないかと思ったり。

ムーニー刑事を演じたボズ・ホスキンス氏は自分がイギリス人だからアメリカの黒人と白人の人種差別問題にあかるくないこともあって、デンゼル先生に言われてはじめてそれが問題になるということを知ったことがいくつもあったと話していたり。

いや、イギリス人だからとかっていうのは関係ないんじゃないでしょうか...とやっぱり物悲しくなったり。

デンゼル先生、ホントにどんな思いで説明したんだろう。。。

デンゼル先生はコミカルなキャラを映画で演じる機会がなかったのでやってみたかったので楽しんでいるよってその同じインタビューで話してはいたけれど。

なんだかインタビュー読んで余計に悲しくなりましたがな。











けー

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