福福吉吉

ザ・キープの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ザ・キープ(1983年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
第二次世界大戦中のルーマニアでドイツ軍は城塞を見つけ、それを拠点にして滞在したところ、兵士たちが次々と謎の死を遂げる。親衛隊のケンプヘルはユダヤ人のクザ教授とその娘のエバを連行し、城塞の謎を解かせようとする。その一方で謎の男がその城塞を目指し移動し始める。

◆感想◆
城塞に秘められた謎の力の正体を探るストーリーを軸に、第二次世界大戦中のドイツ軍の非情さも併せて描いた作品となっています。特にドイツ兵の中でも一般の兵士と親衛隊において意識の差があって、恐怖によって人を支配しようとする親衛隊隊長のケンプヘルを一般兵のオアマン大尉が嘲笑するシーンは印象的でした。

最初に訪れたオアマン大尉の部隊は城塞を守る任務について兵士が次々と死んでいきます。その後、親衛隊が到着し、城塞のある村を制圧し、城塞の謎を解かせようとします。ケンプヘル隊長を始めとする親衛隊は世間一般で知られているナチスドイツらしく、非情さと憎たらしさに満ちていました。オアマン大尉がかなり温情的であるため、その落差を感じました。

そして、その城塞に詳しい人物としてユダヤ人のクザ教授が収容所から呼ばれます。収容所のシーンなど、本作が第二次世界大戦を意識させるものになっていて、リアリティを増していたように思います。

ドイツ兵が死んでいくのと同時期に、謎の男が目覚めます。目が光っていてあからさまに普通の人じゃないことが示されていて、興味を惹く人物となっていました。

ストーリーが進むにつれて、城塞の謎が明らかになっていき、城塞に潜む怪物がストーリーを一気に変えていきます。怪物の姿がかなり異物感が強いため、現在の感覚で見ると怖さが薄れていました。怪物と謎の男の邂逅をもってクライマックスに向かうのですが、あまり盛り上がりが無かったように思います。

前半の戦争とサスペンスを組み合わせた流れが好きだったので、後半の城塞の謎が明らかになっていくと、ストーリーが変容して面白みが減ったように感じてしまいました。普通に面白かったと思います。

鑑賞日:2023年12月31日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年2月6日)
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