安堵霊タラコフスキー

盗馬賊の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

盗馬賊(1985年製作の映画)
5.0
やはり自分はドラマの為に描写する映画よりも描写や映像の為に申し訳程度のドラマを設ける映画の方が好きなのだと改めて実感。

チベットのとある部族、特に一人の男とその家族に焦点を当てたこの作品は自然かつ神秘的で美しい描写が目立ち、さながらフラハティのモアナとテレンス・マリックの天国の日々を合わせたようなものとなっていて、自分の好みにドハマりだった。

こういう見知らぬ部族の暮らしぶりや儀式を淡々と映しただけで気に入ってしまう自分は我ながらちょろいなと思いつつも、それが自分の嗜好なのだからしょうがないし映像美も優れていて感服せずにはいられない。(特にラ・トゥールの絵画の如き室内の灯りは最高の一言)

今度の東京フィルメックスで有難いことにデジタル修復版が上映されるが、この機会に素晴らしく雄大な映像美に触れてみることを強く勧めたい。(自分もできれば見たいけど他にも沢山見たい映画があるから余裕が出来るかは残念ながら甚だ微妙)