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黒蘭の女のmichiのレビュー・感想・評価

黒蘭の女(1938年製作の映画)
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南北戦争直前のニューオリンズが舞台。『風と共に去りぬ』を意識して作られた作品らしいですが、本作のヒロインはスカーレット・オハラと比べ物にならないくらい大馬鹿者だと思いました。どこまでも「自分のわがままは許される」「彼は自分がいないと生きていけない」と高を括り、とっくに見放されているという現実を直視しようとしない。それどころか、周囲をそそのかしてとっくに気持ちが離れた元婚約者の意識を自分に向けようと必死になるも、やることなすこと全部裏目に出てしまう。
それでも戦争前夜だから生きていけたのかもしれないですね。とんでもない「イザベル」のお話でした。
そんな残念な女を演じたベティ・デイヴィスが最強。「世界は自分のために回っている」と言わんばかりのあの眼よ。ほんとかっこいい。

湿ったニューオーリンズでは黄熱が猛威を振るっているのですが、みんなの衛生観念が謎。
みんなヒトヒト感染を信じている割に、酒場では密集して飲んでるし、患者の搬送も普通にする。でもボーダーライン越えて逃げる人は即射殺。
いろいろと混乱の世の中だったんでしょうな。
今では描けないであろう、名家に仕える奴隷の様子もポリコレなしに垣間見られて面白かった。
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