Jeffrey

わるい仲間のJeffreyのレビュー・感想・評価

わるい仲間(1963年製作の映画)
3.5
「わるい仲間」

本作は1963年にジャン・ユスターシュが監督した短編で、この度DVDを購入して初鑑賞したが面白い。少人数で機動性に含む撮影スタッフと定額な予算。ここに原初のヌーヴェル・ヴァーグのきらめくばかりの光が見受けられた。男の子がガールハントをすると言う、まさにヌーヴェル・ヴァーグ的なモチーフを使いながら尋常では生きられない若者のもどかしさを描き、ロメールを始めとする「カイエ・デュ・シネマ」の仲間たちにその才能を認めさせた幻の作品である。どうやらこの作品は1963年にブランシュ広場とクリシー広場の間のノレ街周辺とモンマルトルで撮られた「ロバンソン方へ」を制作したのはカイエ・デュ・シネマの秘書ジャネットことジャンヌ・ドゥロ、監督は彼女の夫ジャン・ユスターシュだったそうだ。

この短編は67年6月に「サンタクロースの眼は青い」と二本立てで「悪い仲間」の題名で公開され、その題名で広く知られていたそうだ。因みにドゥロは「ぼくの小さな恋人たち」でも制作進行を務め、また書店員の役で出演しているそうだ。この作品冒頭始まってすぐに大きな仲代達矢のポスターで「HARAKIRI」とあるが、小林正樹監督の最高傑作(カンヌ国際映画祭グランプリ受賞)の「切腹」のポスターがあってテンション上がる。


さて、物語はあれ日曜日、ダニエル・バルダミュは、スクーターでクリシー広場に行き、カフェのピンボール・マシンで遊んでいる友人のジャクソンと落合いサン =ミシェル大通りでナンパしに行こうと提案する。彼らはその大通りのル・フロリドのカフェテラスに場所を移した後、また場所を変えることにする。ダニエルはジャクソンに2000フラン貸していたことを思い出す。ジャクソンは1000フランしか持ちあわせがない。ダニエルは金を返すのもまたの機会で良いと言う。彼らはテルトル広場に行く途中、ダンスホールのラ・クレマイユールに向かう女性をナンパする。彼女は女友達と待ち合わせをしていると言う。3人は並んで歩く。店に彼女の女友達がいないことを確かめると3人は外に出る。

彼女は離婚していると言うが結婚指輪を外さない。彼女は別の店で踊りたいと言う。ジャクソンがモントルイユに住んでいると言うと、彼女はムードンに住んでいると言う。彼女は1週間前まで印刷所で働いていた。彼らはロバンソンと言うダンスホールにつくが、改装のため閉店だ。仕方なく、彼らはカフェに行く。ジャクソンが外で、知人と立ち話している間、店内のダニエルは彼女と会話する。彼女はホテル住まいで、2人の小さな息子がいる。ダニエルはジャクソンとは6年来の友達だと言う。彼らは近くのダンスホールへ行く。だが彼女が次々に別の男に誘われ、別の男達と踊る。ダニエルとジャクソンは彼女と踊ることができない。うんざりした彼らは、とうとう彼女の財布を盗み、彼女を置いて逃げ出す。財布の中は五千フランだった。

彼らはダニエルのスクーターでバーに行きスコッチを飲む。盗んだ財布には男の写真やコートの預かり証が入っていた。彼らは指紋を拭き取った財布を女に送り返そうと話し合う。やがて店を出たダニエルはスクーターでジャクソンを送っていく。翌日、ダニエルが寝ていると、警察のふりをしてジャクソンが彼を脅かす。彼らは鏡に向かって、自分たちの顔を見直した後、一緒に外出する…とがっつり説明するとこんな感じで、ピガール広場にたむろする2人の若者、ダニエルとジャクソン。カフェのピンボールで遊び、女性をナンパして踊りに行くことが唯一の楽しみだ。ある日、娼婦の多いこの街で1人の女性をナンパする。首尾よくダンスホールに誘えたが、彼女が踊る相手の他の中年男。その態度に怒った2人は彼女の財布を盗み、ダンスホールから逃げ出すまでを描いた短編映画である。とりわけヌーヴェルヴァーグの作品であり、ジャン=リュック・ゴダールの影響かなり受けていると思う。軽量カメラを用して、現実の場所で撮られたユスターシュの処女作は、素人の俳優によって演じられている。都会の描写がとても良く写し出されており、下町の生活もうかがえる。この作品はフランスでは「サンタクロースの眼は青い」と合わせて、公開された。
Jeffrey

Jeffrey