ポレポレ

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのポレポレのレビュー・感想・評価

5.0
NHK BSの『プレミアムシネマ』で鑑賞。

シリーズ17作目。一見みすぼらしいが実は日本画壇の大家 池ノ内青観(宇野重吉)と、播州龍野の芸者ぼたん(太地喜和子)が登場。
芸術家であり絵描きは仕事と捉える青観と、絵を描くだけで儲かる楽な商売と捉える寅次郎(渥美清)の、根本的には異なる考え方の2人が意気投合してしまうおかしさ。快活で笑顔が素敵なぼたんが抱える深刻な事情。金銭に執着したくない理想と、執着せざるを得ない現実。人間と人生の表裏や甘酸を真面目に且つ気軽に描いていることに改めて気付いた。志乃(岡田嘉子)が「人生に後悔はつきもの。ああすりゃよかったなあという後悔と、どうしてあんなことをしてしまったんだろうという後悔の二種類がある」と青観を慰める場面が沁みた。
幼い頃は「寅さんの夢→江戸川土手での騒動を映したオープニング→寅さんの帰宅と喧嘩」といった前半しか観てなかったが、改めて鑑賞すると全篇いずれの場面も素晴らしい。
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