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黄色いからすのmingoのレビュー・感想・評価

黄色いからす(1957年製作の映画)
4.2
涙腺決壊。二十日ネズミや亀、カラスなどゴショヘー映画の愛くるしい動物たちも大活躍、クレヨン入りのオルゴールや牛肉スープの移動販売車や2千円もする凧など変てこなモチーフはやはり健在、「心の通った家族」になるまでを子供の心の動きを中心に繊細かつ丁寧に描き切った児童映画の傑作。
小津映画の常連子役設楽幸嗣コンプ目指したくなるくらいに巧すぎて悔しい(ベタ褒め)何より特筆すべきは孤児を育てる隣の田中絹代おばさんの母性と包容力、ダンチ。ソーセージとスープおれにもくれ。絹代の子ども春子役の安村まさ子も設楽くんと一緒に自宅動物園をつくりあげ絶妙なハーモニーを奏でてくれる。また産まれたばかりの次女だけでなく復員しても社会に馴染めない父伊藤雄之助の唯一の居場所書斎が家族空間内に仕切られずに配置され、家族がうまくいってないことを明示、巧さがひかる。設楽くんが家出してから母淡島千景が探しに行くと言ってコートを取ったが、そのコートの下の壁に赤いアウトラインで描かれた2匹のカラスは「先生役の久我美子」と「母淡島千景」なのか、「田中絹代」と「春子」なのか、隣の家にいることを考えると「田中絹代」とオルゴールをくれた「久我美子」になるのか。
その後、田中絹代に気持ちをはき出す場面で淡島千景がこっそり聞いているときのカメラが凄い。淡島を捉えながらググッと障子の下のガラス部分から田中と設楽二人をゆっくりとフォーカス、「切腹」の宮島義勇を想起させた。全編にわたってショットが決まりすぎているのがゴショヘーらしい。
当時の同時上映「えんぴつ泥棒」とかヤバい二本立てすぎる。この二本立て次かかるときは絶対かけつけたい。
黄色と黒て明度の相性良いからデザイナーは良く使う色だが「両方の親が居ない子供に多い」と沼田曜一に指摘されて何の文献をもとにしたのかやたらと気になった…シュタイナー?
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