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ニキータのtthkのレビュー・感想・評価

ニキータ(1990年製作の映画)
4.5
本作のテーマは、「実存の愛」だと思いました。ニキータは過去に罪を犯し、その代償として一生国に尽す「職業」を「与えられました」。そんな彼女の「実存」を愛した二人の男性の話です。

「実存」といえばサルトルの「実存は本質に先立つ」という格言が有名ですが、それはニキータの場合で言えば、過去の罪や秘密工作員という職業、偽名である「マリー」、コードネームの「ジョゼフィーヌ」といった生後獲得した(与えられた)名称、性質といったものを全て取っ払った時に残るニキータ「そのもの」です。
そんなニキータの実存を愛したのがボブとマルコです。ボブは教官としてニキータと接しますが、その過程でニキータの実存(ヤラれてしまいます。その結果、彼女の実存が自分の周囲から消えると「寂しい」と自身の感情を表します。マルコは、一目惚れ(少し片手落ちな気もしました)でマリーと付き合っていく中で、マリーを演じるジョゼフィーヌを見抜き、さらにはジョゼフィーヌを演じるニキータを見抜いていきます。そして、マルコはニキータの実存を愛することとなります。
その人の「本質」ではなく「実存」を愛せるようになれば、本当に「愛する」こととなるのでしょうか。
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