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第9地区の3104Arataのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
3.7
<21年06月>
【地球上で宇宙人も生活⁈見た目で判断することなかれ!と訓えてくれた映画】
・2009年公開のアメリカのSF映画。
・地球上で宇宙人が生活している状況(ただし、共存ではなくたまたまやってきて帰れなくった宇宙人が難民と化した状態であり、彼らは人間によって区切られた空間での生活を強いられている状況)のもと、人間による「宇宙人たちの住処を大移動させるプロジェクト」が開始。それを指揮する主人公ヴィカスが宇宙人の液体を浴びて感染したことで宇宙人化していく。それを実験体にしたい人間たちによってヴィカス自身も人間に追われる身となる。彼が逃げる中で星に帰りたい宇宙人と出会い、そのミッションを宇宙人と共に成し遂げようとする。という大枠ストーリー。

[お薦めのポイント]
・最初は気持ち悪いと思ってしまう宇宙人に対して最後には共感させてくれる創りがすごい
・主人公ヴィカスの事の顛末が切ない
・宇宙人モノでドンパチなしで面白く最後まで観れる

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[物語]
・想像するような人間VS宇宙人のドンパチ戦争なしに、最後までするっと面白く観れるのは、主人公をピンチに陥れては救う筋書きがきめ細やかに作られていたからかなぁ、と思いました。ピンチから救われるための物語の伏線の張り方もわかりやすくて素敵(例えば、武装集団とのかかわりなど)。
・クリストファーと呼ばれる宇宙人とその子供が、下手な人間よりも理性ある人物に描かれているため、見た目はエグイ宇宙人でも最後には「頑張れ、クリストファー!子供!」と応援したくなってしまいます。クリストファーがする約束も、人間目線だと「いやいや、あり得ない笑」と思ってしまいますが、彼の思考回路ならその判断をするだろう、と理解できるので、もはや見た目のエグイ宇宙人の存在はどこへやらで、ただただ人間同士のドラマを観ているだけの状態になっていることに気づかされます。

[演出]
・宇宙人を「エビ」と呼ばせて、昆虫やそれこそエビのような触角をもった体をさせる。そのエグサに最初は一歩引きます。とにかく気持ち悪い、と。ただ、それが狙いなのかもしれません。そのマイナス過ぎる印象の状態から、物語が終わるころには、彼ら宇宙人を「気持ち悪い」と思わなくなっているのです。これぞまさに「人は見た目ではない」という言葉そのものだなぁと思わされました。

[映像]
・宇宙人を日常生活に溶け込ますためにCGなどの技術を多用する必要があると思いますが、全然、違和感なく観ることができました。2009年時点でこの技術。改めてすごいなぁ、と。宇宙船の母船や船を操るためのデジタル仮想操作盤などもすごい出来。むしろ、こんなに技術が進んでいる宇宙人なのに、どこか汚らしい身形や生活感はいったいどこから来るのかが気になりましたが。笑

[音楽]
・際立って感じることはありませんでした。

[演技・配役]
・シャールト・コプリーさん演じる主人公ヴィカスが、最初のぴっちり横分けヘアスタイルの超真面目君な状態から、だんだんとワイルドに変わっていく様が見ごたえありますね。ちょっと嫌味な奴感を含んだキャラクターづくりも味があって良きです。

[全体]
・単に宇宙人モノアトラクション映画として、面白くするっと観れる素敵な映画です。しかし、そんな中で「人(宇宙人も含めて)は、見た目だけで判断することなかれだよ」と教えてもらった気がします。とある人を瞬発的な印象で『気持ち悪い』とか『嫌だ』(またはその逆)と決めつけてしまっても、実はその後、一緒に会話をして行動をして生活をして…関係を重ねるごとに、その人の「本質」が見えてくる。それが見えれば、最初の印象はどこへやら。気づけば自分が抱いたマイナスの感情(またはプラスの感情)は簡単にその逆になっているものだ、ということですね。これは日常生活においても非常にお勉強になるというか、良い気付きを与えてくれました。特に、ラストシーン。あれは、オチとしてだけではなく、「これ見て、今、あなたはどう感じますか?」と問われている気もしました。監督さんには全然そんな意図がないかもしれませんが笑 それでも、こうやって思考するキッカケを与えてもらえるような映画に巡り合えたことが良かったです。ありがとうございました。

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