シンタロー

気まぐれ天使のシンタローのレビュー・感想・評価

気まぐれ天使(1947年製作の映画)
4.1
ヘンリー・コスター監督×ケイリー・グラント主演。
司教ヘンリー・ブロームは、妻ジュリア、娘デビーと3人暮らし。新しい任地に聖堂が建設されることになり、その基金募集に四苦八苦する日々。真面目で気弱なヘンリーは、建設委員会の顔役ハミルトン夫人との協議に手を焼く。多忙のあまりジュリアとはぎくしゃくし、友人のワザリッジ教授とも溝が生まれていた。ついに神に救いを求めるヘンリー。すると目の前に、自分は天使だという美しい青年ダドリーが現れる。翌日からヘンリーの助手となったダドリーは、不思議な力で人々を魅了していく…。
季節はずれですが、祖父母とよく観たクリスマス映画から大好きな一本を従姉妹と鑑賞。こういう優しいファンタジーは、いくつになっても良いものです。秘書のキャサウェイや女中のマチルダ等々、女性陣は天使に魅了されてるんだか、ケイリー・グラントにうっとりしてるんだか、わけわからなくなっていく可笑しさがあります。妻や娘、愛犬まで魅了されてしまい、嫉妬に狂うヘンリー。どうして周りばかり幸せにして自分のことは!と怒りますが、そうではないことが回収されていく展開は良くできてます。ダドリーは関わる人々を幸せにしたり、望みを叶えたりしていきますが、自分が消えて、記憶が抹消される先のことまで見据えている優しさに心がホッコリ。天使は居心地良さを感じたり、特定の人に惹かれたりしたときがお別れのときって、なんだか切なかったです。クリスマスの街並みやスケート場のシーン等々、時代を感じさせる冬の情景も見どころです。
主演はケイリー・グラント。誰もが魅了されてしまう天使役なんて、演じられる役者はかなり限られるでしょう。それをいつも通りのケイリー・グラントで演じきるのがスゴイ。スケートやハープのシーンは微笑ましい。終始楽しそうに芝居してるのも好印象です。ヘンリー役にデヴィッド・ニーヴン。当初グラントと配役が逆だったらしいです…想像したら笑える。ヒゲの似合う英国紳士として、長く映画ファンに愛された方。身のこなしや立ち居振る舞いに、粋や品の良さを感じさせてくれます。様々な役柄をこなせるバイプレイヤーとしても魅力的です。ヒロインはロレッタ・ヤング。3歳から子役として活動。美人というよりは個性的な顔立ちです。晩年に養女と公表していた娘が、実はクラーク・ゲーブルとの間に授かった私生児だったと告白しています。
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