カトキチ

スキャナー・ダークリーのカトキチのレビュー・感想・評価

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)
5.0
冒頭、身体中を這い回る虫をなんとか取り除こうとあたふたする男を映し続けるが、このツカミが完璧で一気に引き込まれる。

『ウェイキング・ライフ』と比較されがちだが、その映像はまったく別物であり、何度も何度もトライ&エラーを繰り返した結果、見事にブラッシュアップされ、麻薬中毒患者が見るであろう世界の見え方を見事に映像化。身分が誰にも知られてない麻薬密売の潜入捜査官本人が容疑者として疑われてるという設定は『マイノリティ・リポート』と同じで、いかにもディック的。

色彩はどぎつく、わりと前半はダウナーな『トレインスポッティング』といった具合だが、後半は過激なシーンがない『レクイエム・フォー・ドリーム』といった具合で、真綿で首をしめられるように麻薬によって脳が破壊されていく様子を描いていて怖かった。
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