ヤマニシ

マイ・フレンド・フォーエバーのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 完璧だ、完璧な映画だよこれは。二人が子供らしく遊んでいたり旅をしたり日常を過ごす姿の背後に常に病魔が潜んでいることが意識させられて、いつこの平穏がついえるかと思うと気が気でなくなる。それは当人たちにとっても周知で、彼らのどの行動も終わりを意識しているようで見ていて切ない。
 主人公が個人的にはかなり魅力的な人物で、仲良くなってすぐのころに直球で偏見をぶつけてくるいじめっ子相手に堂々と啖呵をきる心根の強さに好感が持てた。冒頭のシーンで自分をからかってきたときはイラつきこそしたが怒ったりはしなかったのに、友達が侮辱されると立ち向かう勇気があるのがかっこいい。(そういえばいじめっ子はもう一回登場するかと思ったけどしなかったな。)主人公の人物描写が丁寧で、病魔に侵される友人に対して(全くないわけではないけど)からかったりせず哀れんだりせず対等な関係を築いているのが伝わって素晴らしかった。病気のことはお互い念頭にあるものの、それがなくとも親友としてなれたであろう関係の描写がすごく素敵だった。
 亡くなったときは主人公も母親も大泣きしたりするんじゃなくて、少しずつ事実を受け入れて次第に耐えきれなくなってしまう様子が辛かった。それでいて母親は自分が一番つらいだろうに主人公のことを思って怒ることのできる人格者。魅力のある人物の描き方がすごくうまい映画だ。
 ラストシーンは本当に完璧だった。暗い宇宙の中で悲しまないで済むようにスニーカーを渡すところとか、いけなかった街にたどり着けるように靴を川に流すところとか、この映画の締めとして完璧すぎる。とてもいい映画を見ました。
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