牛猫

マイ・フレンド・フォーエバーの牛猫のレビュー・感想・評価

4.1
HIVに感染した少年デクスターと、その友人エリックとの友情を描いた話。

あらすじだけ見るとよくある難病ものだし、実際終盤までは刹那的な子どもの友情物語の積み重ねで特段感動することもなかったけど、デクスターの母親の演技に泣かされた。残された時間が少ない我が子と友達になってくれた少年に対する眼差しが優しくて温かくて切なくて。我が子のことで精一杯のはずなのに、親友となった隣人の子どものために動いてくれる姿がまた涙を誘う。

中盤のテントの中でのあの場面がラストにつながってくる演出も憎い。子ども同士だからこそ、あれだけ純粋な友情を育めたんだろうと思うと、年を重ねた今見ると別の意味でどんよりした気持ちになるけど、収束していくようなラストの締め方は綺麗だった。
今でこそAIDSは不治の病ではなくなったけど、まだまだ差別や偏見は根強く残っているし、怖い病気のイメージは拭いきれていない。AIDSに限らず、病人としてではなく相手を尊重する姿勢を忘れないようにしたいと思った。

あとは、病人と接する時にどうしても可哀想だとか、気の毒だとか、マイナスな感情が湧き出てしまいがちだけど、この映画みたいに新しい友達だってできるし、楽しい冒険だってすることができるし、もしこの先自分が病気になったとしても、前向きにやりたいことをやってやろうと思えた。

在りし日のブラッドレンフロの姿をみてまた切なくなった。冒頭の危なくて残酷な一人遊びの場面が彼の末路を表しているようだった。
牛猫

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