メイマーツインズ

奇跡のメイマーツインズのレビュー・感想・評価

奇跡(2011年製作の映画)
4.0
《ボヤけた味、それもまた人生》

是枝裕和監督作品。
子ども目線で描いた家族ドラマ。
Filmarksに加入するまで、存在自体知らなかった作品で…
Amazonプライム配信終了間近ということで、慌てて初鑑賞。


両親が離婚し、生まれ育った大阪を離れ、兄は母親の地元・鹿児島、弟は父親の地元・福岡に離れ離れに暮らしている。
兄は、また家族一緒に暮らせることを願い、ある計画を立てるが…


ドキュメンタリー調も入れながら、子どもたちを生き生きと描いてあり、他の是枝裕和監督作品とはちょっと違うテイストが新鮮だ。

子どもたちを優しく包み込む豪華な俳優陣。
おじいちゃん役としてはこの上ない橋爪功、自由人の父親役を演じるオダギリ・ジョーもらしさ全開で、母親役の大塚寧々も自然体で良い。
是枝裕和監督作品と相性バツグンの樹木希林さん。実孫の内田伽羅と共演作ということもあり、特に楽しそうにうつる。
熱血漢の阿部寛、飄々とした長澤まさみといった、先生役の2人が素敵なスパイスに。

両親の離婚で犠牲になるのは子どもであり、特に今作のように兄弟が離れ離れになるのはいたたまれない。
今は、結婚した夫婦の3分の1が離婚するという時代。
当人同士は良しとしても、子どもだけではなく祖父・祖母を含めた周りにも寂しい思いをさせてしまう…
それが離婚なのだ。

人生は白黒でハッキリできないことばかり…
鹿児島の祖父が作る和菓子かるかんのほのかな甘さのボヤけた味。それもまた人生の味だといえるのではないか…

是枝裕和監督らしいリアリティ溢れる演出で、子ども目線から家族の本質を炙り出した秀作です。