スギノイチ

越後つついし親不知のスギノイチのレビュー・感想・評価

越後つついし親不知(1964年製作の映画)
3.5
初っ端から、冴えない男(小沢昭一)の妻(佐久間良子)をゴロツキ(三國連太郎)が強姦するというきつい展開。
同原作者の『はなれ瞽女おりん』と同様、虐げられっぱなしの女の半生を描いたマゾ展開が延々続く。
主役ではないにしろこの映画の三國は悪い奴で、犯した女の家に上がり込み、姑と3人で食卓を囲みながらコタツの下でちょっかいを出すというエロマンガ顔負けの鬼畜だ。
強姦魔、犯された女、女の義母による歪んだ食卓。
今村昌平の『復讐するは我にあり』を先取っているのか?
構図まで全く同じでインパクトのあるシーンだ。

佐久間良子の不幸は留まる所を知らず、一発の強姦で孕んでしまった上に真面目な夫にばれてしまう。
怒り狂う夫は妻の頭を田んぼに押し付けて殺してしまう。
我に返った夫は洞窟に死体を隠すが、だんだんおかしくなり死姦行為に走るようになる。
このまま倒錯的なラストで締めるのかと思いきや、妻の死体に虫が湧いた途端「うげっ」っと我に返るのがリアル。
ここでもっとロマンティシズムに振れたら田中登の『人妻集団暴行致死』になるのか。
(この映画では、死体をとっととカマドで処分してしまう)
この一連のシーンからラストまでの小沢昭一の演技が凄い。
『人妻集団暴行致死』の室田日出男と真逆の行動なのも面白い。

しかし、俺の勘違いでなくこの映画が本当に『復讐するは我にあり』や『人妻集団暴行致死』に影響を与えているんだとしたら、とんでもない濃い流れだ。
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