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バベットの晩餐会のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)
4.0
アイザック・ディネーセン(カレン・ブリクセン)の同名小説の映画化で、ガブリエル・アクセルが監督(脚本も)した名作。
原題: (デンマーク)Babettes gæstebud, (英) Babette's Feast (1987)

19世紀、ユトランドの小さな漁村が舞台。
美しい姉妹が、牧師(ルター派)である老父(ポウエル・ケアン)と清貧な暮らしを送っていた。
姉(ヴィーベケ・ハストルプ)には謹慎中のスウェーデンの若い士官が、妹(ハンネ・ステンスゴー)には休暇中の著名なフランス人バリトン歌手が求愛するが、姉妹は父(神)に仕える道を選び、結婚することなく、清廉な人生を過ごしながら年老いていく。
1871年の9月の嵐の夜、姉妹(姉・ビルギッテ・フェダースピール、妹・ボディル・キュア)のもとに、革命(パリ・コミューン)で夫と子どもを殺された女性バベット(ステファーヌ・オードラン)がバリトン歌手の紹介でやって来て、家政婦として働くようになる。
求婚から35年、バベットが来て14年の年が流れ、姉妹の父である牧師は亡くなり、村人の信仰心も薄れてきていた。
そこで、姉妹は父の生誕100年を記念したささやかな晩餐会(パンとコーヒーだけ)を催して村人を招待することを思いつく。
バベットは、姉妹に"晩餐会の食事を作らせて欲しい、フランス料理を出したい、費用は自分で負担したい"と初めてお願いをする。
姉妹は同意するが、豪華な食材を目にし、姉妹と招待客である村人は、"晩餐会では食事を味わうことなく、食事の話も一切しない"と決める。
晩餐会の参加者は、将軍となったかつての士官(ヤール・キューレ)と叔母も加わり12名。
料理のあまりの美味しさに将軍は感動して料理の説明をするが、他の参加者は別な会話を繰り広げる…。

晩餐会終了後…。

"宝くじ"

「貧しい芸術家はいません」

「天使もうっとりとするわ」

姉妹、バベット外、出演者の表情がとてもよい。

かつて自分たちに恋してくれた男性に対する想いを記憶の底に置きながら、プロテスタント(ルター派)の清貧な生活を全うし、他人に奉仕する心穏やかな美しい姉妹の生き方、
パリコミューンの動乱から逃れ、自分の身について一言も説明しないまま新天地で姉妹の召し使いとして働いてきたバベットの生き方。
それを感じながら、バベットの料理が作り出す穏やかな至福の空間に身をおき、幸せな気分に浸ってください。
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