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夜の素顔のchiyoのレビュー・感想・評価

夜の素顔(1958年製作の映画)
4.5
2015/8/7
京マチ子演じる朱実の志乃への弟子入りと、その後の手の平を返したような裏切り。時には体を武器として使い、時にはメディアを利用する、その徹底した成り上がりっぷりが逆に天晴れ。が、そんな彼女のさらに上をいくのが、若尾文子演じる比佐子。室内を窺いながらのひとり微笑から嫌な予感はしていたものの、その容姿とは裏腹な面の皮の厚さが本当に恐ろしい。時折り見せる小賢しい演技も、コミカルだけれどホラー以外の何物でもない。そんな比佐子がいつ大々的に朱実を裏切るのだろうとドキドキする中、まさかの着地点で面食らうことに。が、突発的なことが起ころうとも、その全てを利用する比佐子がお見事。自分の過去をつらつらと語る朱実は蛇足な気がするけれど、あんな形でフラッシュを浴びるなんて皮肉すぎる。それにしても、出演時間は短いものの、朱実の育ての親を演じる浪花千栄子がさすが。女の笑顔の恐ろしさを痛感する1本。
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